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ドイツ映画「グストロフ号の悲劇」 被害者としてのドイツ

ストーリーは、1945年1月、第2次世界大戦末期、ソ連軍の侵攻から逃れる難民が、豪華客船グストロフ号に1万人も乗船するものの、ソ連軍の魚雷攻撃を受け、9千人もの死者を出して沈没してしまうという大悲劇。

これは、これまでのドイツ映画と違い、ドイツ人が戦争の被害者であったという面をえらく強調した内容だ。

ドラマの中では、ソ連に協力して客船の位置を潜水艦に教える役割を担うドイツ人通信兵が登場人物として現れ、戦争末期、疲弊して戦闘を続けるよりも味方を裏切ってでも、戦争を早く終わらせたいと思う人が数多くいたということを示している。

戦争って嫌だよね。

だけど、この映画の場面で、それでも軍隊が存在するのは頼もしいと思わせるところもあった。客船に護衛艦がつかないまま難民を乗せ航行するのは危ないと主張する船長の言葉。結局、ろくな護衛がつかないまま出航。

どうしても、あのピースボートを思い出す。さすがに魚雷攻撃ほどは受けないにしても、自分を守ってくれる存在がいるか、いないかは重要だ。そんなものを提供して貰える国に生まれたことを幸運に思う。軍隊と認められないため、武器使用に不自由させられながらも、日本国民を守る部隊がそばにいてくれる。

ところが、その軍隊がナチスのように戦争を仕掛ける立場になることもあるから、危なっかしいのだ。でも、戦争をするかしないかの決定は政府が出す。民主政治であれば、世論が出すものだ。

軍隊は道具に過ぎないのだから、その道具を責めてもね、と思う。日本の場合、道具が一人歩きしたといわれるが、けっしてそうではない。一人歩きを許す制度的欠陥と、大きな国民世論の支持があったことをしっかりと見つめないといけない。

軍隊を単純に悪とみなして、平和を守っているつもりでいる輩には汲みしない。

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by masagata2004 | 2009-06-16 23:49 | 映画ドラマ評論 | Trackback | Comments(3)
Commented by ruhiginoue at 2009-06-17 07:29
 権力に守ってもらうという考えは倒錯したマゾヒズムだといつから言われて来たことか。
 自分は自分でしか守れない。民主的にやれば大丈夫という、学校で習ったことを鵜呑みにする甘ったれちゃんは、いつまでたっても大人になれませんね。
Commented by masagata2004 at 2009-06-18 22:53
じゃあ、他に誰に頼れば? 自警団でも作りますか?
Commented by ruhiginoue at 2009-06-19 06:43
 アメリカはそう。何でも自分でやることが基本。それを効率よく行うため社会的に行い、秩序を保つため公的に委託する。
 それを、お上が施して下さっているから感謝というのは奴隷根性。


私の体験記、意見、評論、人生観などについて書きます


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