平和をモットーに世界一周航海をする船が、自衛隊の護衛を受けることに。次々と迫り来るハプニング。その時、乗客たちは!?
まずは、第1章から第4章までお読み下さい。 朝食中だった乗客は、アフリカ訛りの英語で床に伏せろと命令をされ、体を震わせながら床を顔につけていた。黒人が6人。その内、二人が、下へ行く。 タツミは、操縦桿を握り、しばらく考えにふけっていた。数年前の事件を思い出す。あの事件が、自分を変えた。同じように操縦桿を握っていた。動かすべきか、動かすべきでないか。あの時も迷った。今、船内は武装グループによりシージャックされそうな状況だ。この状況で船を進めるのはいいことなのか。 タツミは思った。動かそう。エンジンをかけた。船が発進する。操縦桿をゆっくりと動かす。 船が動き出し、ホールにいる武装集団4人の内、2人が上へ。操縦室に向かったようだ。 どんどんと、操縦室のドアを叩く音がする。そして、体をぶつけ、ドアをこじ開けようとする。今度は機関銃が発射され、ドアが砕け、塞ぎの重い机を押しのけ、黒人の男2人が入ってきた。もぬけの空かと思いきや、シューという音が突然聞こえ、自分たちの視界が真っ白になり、混乱した途端、体を消化器で殴られ、手から機関銃を落とされ、気が付くと床に伏せられているのに気付いた。 男の一人が言った「FUCK」。その言葉を聞いて、タツミは思った。こいつら、アメリカ人だ。それも、軍関係者だ。 ホールでは、乗客十数人を床にひれ伏せさせ、機関銃を持って監視する黒人2人が、睨みをきかす。床にひれ伏せられたメンバーには、ワールドピース副代表の女性ヨシコがいた。ヨシコは混乱して、人生で最大の恐怖を感じている。目の前に同じく平伏す歌手のゴンゾウがいた。 すると、銃声がした。ああ、もう駄目だと思いきや、それは、武装集団の銃声ではない。別の銃声だ。武装した男2人のうちの一人に銃弾が当たり、男が倒れてしまった。その後、シーンとした状態に。もう一人の男は、ぞっとするや、ヨシコの肩を持ち上げ、太い片腕でヨシコの首を挟んで、もう一方の手で機関銃を持ち、誰かから狙撃されていると分かり、天井や壁に射撃する。ヨシコは悲鳴も出ないくらいの恐怖で気絶寸前だった。 だが、ヨシコが気絶する前に、男が突然、倒れ、引きづられてる用にヨシコも床に押し倒された。男は、なぜか気を失ったようだ。気絶した男の腕を払い、ヨシコは立ち上がった。 目の前に大理石の灰皿を持ったゴンゾウがいた。どうやら、それで男の頭を一撃したらしい。 「どうだい、大丈夫かい?」とゴンゾウ。そして、どこからともなく、銃を持った田之上が現れた。 そして、また、現れたのは、タツミだった。船を止め、操縦室から降りてきた。 「タツミさん、大丈夫?」とヨシコがきく。 「ああ」とヨシコに言うと、田之上の方を向き「田之上さん、どうやらこいつら米海軍のやつらのようです」と言う。 「何?」と田之上は驚きを隠せなかった。 2人の黒人兵士は、倉庫室にいた。一人はグループのリーダーだ。船が動き出したので、仲間の2人を操縦室に回した。船が止まったところを見ると、どうやら、操縦室を制したようだ。後は、これから、作戦を果たす。目の前にその作戦の目標物があった。黒い鉛でできた2メートル四方の大きさのコンテナ。ポケットから鍵を取りだし、それを錠前に持っていこうとすると。 「HOLD UP,DROP GUNS,GUYS」とどこからともなく声が。 すると、目の前に機関銃を持ったタツミと田之上ともう一人、田之上の部下の自衛官がいた。男たちは、機関銃を捨てた。 田之上は英語で「お前らは米海軍の連中らしいな。一体、何の目的でこの船に乗り込んだ?」 男たちは何も答えない。 「どうやら、秘密の作戦らしいな。そっちが答えないのなら、こちらから調べるまでさ。それから、君たちは、拘束され、米海軍人が旅客船を乗っ取ろうとしたと世界中に宣伝されさらしものにするまでさ」 と田之上。 「俺たちは、盗まれたものを取り返そうとしたまでさ」と兵士の一人が答える。 「一体何を? ほう、この鉛のコンテナの中にあるとなると」 タツミは思った。核爆弾? もしかして、横須賀の海軍基地から。横浜港に運び込まれ、この船に紛れ込ませ、ここで取り上げ、どこかに売り飛ばすつもりで。 兵士は沈黙する。 「ならば、無理矢理にでも、中身を開けさせて貰おうか」 兵士のポケットから鍵を取り上げる。 鍵を錠前に差し、鍵が開いた。そして、ボックスの蓋を開き、中を見ると。 「あ、これは鎌倉で盗まれた仏像では」とタツミが驚いて言った。新聞で見たものと同じだ。 「いったいどうして、こんなところにあるんだ」と田之上が兵士に訊く。 「仏像が盗まれ、この船で運ばれたことを知った。エジプトで売りさばかれるという情報を入手した。だから、それを取り返そうと」 「おい、だとしたら変だ。それならば、この船を護衛する我々自衛隊に知らせて、仏像を日本へ戻せばすむことじゃないか。なぜ、あんたらが関与する。それも海賊の振りをして乗り込んでまで」と田之上。 「いやあ、つまり、その」 タツミは、コンテナが米海軍のものであることから、その不可思議な理由が分かった。 「は、はあ、つまりあんたらの仲間が関与した事件だったというわけか、それが分かるのが嫌で。米軍らしいな」と田之上が言うと、兵士は困った顔になった。そして、田之上は続けて言った。 「ちょっと待ってくれ。となると、船長や航海士なんかもグルだったってことだよな。この船はエジプトに寄港する予定だが、しかし、そこで税関をくぐり抜け、密売ルートに持っていくなんてリスクが高い。つまり、この仏像を寄港の前に取り上げることを企んでいる奴がいるということ。そんな情報を入手して先手を打ったと言うことか」 兵士は何も言わなかったが、表情からイエスと言っているに等しかった。 ならば、次なる奇襲が来る。兵士の腰に衛星携帯電話があるのに気付いた。田之上は、それを取り上げると、番号を押した。電話が護衛艦に通じた。 しばらく会話して、自分たちの位置を告げる。 「頼む。急いで、ここにヘリを送ってくれ。海賊がやってくる。その前に対処してくれ」と田之上。 タツミは操縦室に向かった。 第6章へつづく。 ※このブログはトラックバック承認制を適用しています。ブログの持ち主が承認するまでトラックバックは表示されません。
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