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超訳「資本論」を鈴木邦男氏のそばで読む

木曜日の夜、近くのファミレスでビールにつまみを食していると、そこにかの有名人が隣に座った。その名は、鈴木邦男という一水会という右翼団体の顧問であられる方。その方は、「思考のレッスン」という本を手にしながら、コーンスープと野菜カレーと注文された。食事が来る前後に、本を熱心に読まれている姿は、何ともいえなかった。

さて、私の方はビールを飲みながら的場昭弘著の「超訳「資本論」」を読んでいた。内容はというと、19世紀のドイツ人新聞記者カール・マルクスが書いたあの歴史的名著「資本論」を要約して、現代の事象と比較、解説したものだ。原書は、実に長ったらしく文章も難解である。だからこそ、こういう本で学びたいと思って購読することにした。

この本は、アメリカの大学で国際関係学を専攻していたときも、講師がグローバル経済の弊害を指摘するとき、しばしば取りだたされたので、よく知っていた。ただ、原書は読みたいとなど思っていなかった。これは、いわゆる資本主義経済の欠陥を暴く書である。主な点は、この二つだといえよう。

1)貨幣がなく、物々交換の時代は、貧富の差はうまれ得なかった。貨幣経済となり資本を動かす資本家が登場すると、多くの労働者を雇い、富を作り出し、資本家が分配するのだが、その段階で中間搾取が起こる。

2)機械化が進み、労働者が楽になり、賃金が増えるかと思うと、そうではなく、むしろ、資本家が機械化によって増える利潤を独占するようになる。そして、しだいに労働者は機械の部品のように粗末な扱いを受け、それに対して抵抗する手段、また、労働者である以外の人生の選択肢を奪われるようになる。

分かりやすくいうと、資本主義は、人間にとって最低のシステムだと。資本主義は、封建制度から人間を解放させたという説が蔓延しているが、結果として、多くの人々は資本家の労働者にさせられ、かえって、封建時代の農園の奴隷よりもひどい扱いを受ける結果となったと説いている。

そして、19世紀にありながら、現代のワーキングプア、グローバル化による雇用の移転による労働の流動性の高まりなどを見事に言い当てている。まあ、そもそも、それが資本主義というものだったのだろう。

総論的にいうと、現代の経済システムは、努力したもの、能力のあるものが、より富を得られるという形にはなっておらず、運が良かったり、要領がいいやつらが富を牛耳るシステムになっているということなのだ。

我々は、資本主義神話に騙されていた。そういうことなんだ。大都市にくり出しビジネスで儲けて、大金持ちになるより、どこかの村で小さな田畑を持ったり、海で漁師をしたりすることの方が、実をいうと、貧しいようで、もっともまっとうな生活手段であることに昨今気付かされる。

鈴木邦男さんが、この本を読んだら、どんな感想を持つだろうか。右翼の彼には、左翼の象徴のようなこの本は馴染まないかもしれない。ただ、元産経新聞記者で大変教養のある方だと聞くから、とりあえずは原書を読んでおられるだろう。感想をお聞かせ願いたい。
by masagata2004 | 2009-11-27 22:25 | 書籍評論 | Trackback | Comments(0)


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