独映画「ザ・ウェーブ」 自由なドイツらしい映画

今日は映画の日、1本1000円で観に行けるというので、2本観た。1本目は、松本清張原作の「ゼロの焦点」。ストーリーは、過去を知られたくない女が自分の過去を知っている人達を殺すというテレビのサスペンスドラマお決まりの内容。松本清張は、この作品以外にも、似たような作品を作り続けており、小説を読む方も、ドラマや映画化されたのを観る方も、よく飽きないなと感心するが、広末涼子主演のこの映画は、内容のありきたりさを映像の迫力と俳優たちの演技力で上手く補った感じがするので、ストーリーの評価をCとしても、総合的にはBを与えてもいいくらいのものであった。あと、フェミニスト的な要素もあったので、よしとするか。

2本目は、ドイツ映画で、これはテーマ的に惹かれたのだが、いまいちストーリー展開に説得力がなかったと思った。

高校で「独裁制」を教えることになった体育教師は、生で分かるようにと擬似的な独裁体制プログラムを授業で取り込むことに。すると、生徒たちは気が付く内に、ナチスに扇動された、かつてのドイツ国民のように危険な行動を起こすようになる。

ドイツはナチに解放された戦後、独裁制体験による反省から、このようなことをテーマにした作品が多い。似たような作品で「エス」という疑似刑務所体験の映画で、看守役になった普通の人が、囚人役の相手に酷い仕打ちをするという内容がある。

映画の中では、第3帝国の歴史を蒸し返させられるのは嫌だとか、東ドイツはネオ・ナチが多いとか、ドイツのこの辺のことをめぐる事情がうかがい知れる。

日本で同じ授業をと考えるが、日本の学校はすでに制服あり、起立・礼あり、左翼や右翼な全体主義が好きな教師が多く、すでに地をいっている感じがする。その点が、日独の過去との訣別の違いだともいえると思う。まあ、日本にはヒットラーやナチスのような巧妙な組織があったわけではなかったのだけど。

映画の中のドイツの学校風景は、制服がなく、自由で、生徒個人個人が好きな科目を選べるという現代ドイツとの比較が、テーマの重要性を強調していた。がんじがらめの日本では、校則の厳しさを増しただけなのねとしか解釈できない。21世紀になっても進歩のない日本との違いを見せつけられる。

テーマとしては、面白いと思ったので、期待しすぎた反面、ストーリー展開が説得力に欠けるものだった。ナチスの巧妙な洗脳手法、団結と裏腹に増強される凶暴性とかを、観客に分からせようと趣向を凝らしているのだが、それがかえってしらじらしい演出に見えて、見ている立場としては、疲れるものだった。

まあ、「独裁はもう起こらない、とは言えない」というメッセージは大いに理解できたが。その点に関しては、映画を観る前から、私自身、実体験で分かっている。この人との出会いがあってから。カリスマに惹かれる大衆心理とは恐ろしいと思った。

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by masagata2004 | 2009-12-01 21:20 | 映画ドラマ評論 | Trackback | Comments(0)
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