映画「人間失格」 原作を読んで観たからこそ

この作品が楽しめたと思う。

内容は、女にもてて仕方のない青年が、気の弱さから自らを追い詰めていく人生を辿るというもの。

何でも太宰治の自伝に近い内容らしい。映画の中で女性と心中して死のうとするシーンがあったが、太宰も、結局それによって命を落とした。

原作を読んだ上で観たので、小説の文章のイメージとの比較にこだわってしまった。だが、よかったのは小説では分からなかった主人公の故郷である津軽の景色が画面に映し出されたことだ。特にすばらしかったのは岩木山の風景。先日、スキー旅行に行った岩手県の岩手山(以下)とよく似ていた。
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東北の郷愁が映像化されて、そこに不思議な安堵感を覚えた。先月は、山形と岩手という東北の郷愁をスキーと温泉を楽しみながら味わったので、なおさら臨場感を感じる。

原作と違う点といえば、時代設定が少し後年にずれているところと、詩人、中原中也を登場させたことだ。時代は映画としての面白味を出すため、分かりやすいベルリン五輪(1936)の前畑秀子と日中戦争(1937~)と真珠湾攻撃(1941)を背景にしたのだろう。原作は、それより5年ほど前の時代を舞台にしている。

また、原作を読んでないと分かりづらかっただろうと思う点があった。それは、主人公が所帯を持つ女性が他の男にレイプされるところ。映画を観るとレイプされたのか、不倫だったのかが、はっきりと分からない。もっと説明となる場面を加えるべきだったのではと思った。ま、あの当時はレイプされた女性は、レイプ犯と無理矢理結婚された時代だったから大した違いはないのか。

最後には、自らの手記を通い詰めたカフェで綴ったノートを太宰が目にして、それを小説にする。

女中役の三田佳子の津軽弁の演技が、劇中でもっともさえていた。さすが名女優だ。この映画で小説の舞台であり、太宰の故郷でもある津軽に行ってみたくなったほどだ。

この作品を含め、戦前の日本を舞台にした名作家の作品を読むと意外に思うことがある。それは、日本社会は、実をいうと、性に関しては解放的だったのではないかということ。この作品では、女たらしの主人公の性の遍歴が描き出されているが、夏目漱石の「こころ」では同性愛が描かれている。

だから、日本って、実をいうと大らかな社会だったのじゃないかなという錯覚を覚えたりする。

そんなわけで、小説の原作を読んで、その世界を映像化したものを見られるのは実に嬉しい。願わくば、私の書いた作品も、そうなってくれると嬉しい。このブログ上で発表している自作小説が認められ出版され、映画化なんてされるといいな。

そうそう、今、連載中なのは、軽小説では、反原発をテーマにした「原発ターミネーター」、それと、小説では、やっとあらすじがかたまった「ヨーソロ、三笠」だ。どちらも映像化するとダイナミックでとても楽しめると思う。もちろん、すでに書き上げた他の作品も。詳しくは、タグの欄のノベルズにて。

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by masagata2004 | 2010-03-02 13:44 | 映画ドラマ評論


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