旅小説「私を沖縄に連れてって」 第1章 パンチ

私をスキーに連れてって」の時代に連れてって」に続く「連れてって」シリーズ第2作。米軍基地建設に抵抗する海人(うみんちゅう)の戦い。

 沖縄 名護市 辺奈古岬沖海上

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 八月の炎天下、そこでは、漁船、カヌーボート、合わせて数十隻と環境アセスメント調査船と海上保安庁の巡視船が睨みをきらしていた。

 調査船は、埋め立ての対象となる海中の調査をしなければならない。だが、そこは漁船とカヌーで占拠された海上。手出しも前進も出来ない。巡視船から拡声マイクで、妨害行動をやめ海上から撤去するように何度も呼びかけが行われている。
 海の上の空ではマスコミのヘリコプターが数台、その様子をカメラに収めようと撮影している。
 もちろん、妨害が目的で集まった船団なので、一切、そこを動かない。浮遊したままだ。
 漁船の上に、一人の漁師がいた。名は、水島龍司、三九歳の日に焼けた男。身長一八五センチで離婚歴二回の元商社マン。生まれ育ちは東京である。
 命懸けでこの海を守る決意をした男。さて、どうなるか。

 と、その時、一隻のボートが妨害船団と巡視船、調査船の間をぬうように割り込んできた。ボートの上に乗っているのは、黒いシャツを着た大男。ボートには機関銃が備え付けられている。キャンプ・ヘナコの海兵隊員だ。なぜ、海兵隊員が。
 ボートは、妨害船団の目の前で止まり、機関銃の銃口を向ける。
 即座に発砲した。周囲に炸裂音が響く。カヌーは次々とひっくり返る。
 ああ、何てことだ。龍司は漁船の中で、他の乗船員と共に身を平伏したが、即座に海中に飛び込み、得意の潜水泳で海中を移動した。目指すは、狂った海兵隊員のボートだ。
 龍司の手で、この暴挙を止めなければ、この隊員のことはよく知っている。
 ボートの真下に着いた。丁度、船尾だ。さと起きあがり、飛び魚のように跳ね上がり船上に入った。
 それに気付いたのか、白人で筋肉質な体格をした大男は龍司の方を見つめる。お互い知っている仲のせいもあってか、大男は、にこっと微笑んだ。
 龍司は怒りを爆発させ、全身の力を絞り男の顎にパンチを加えた。男は、どたっと倒れ込んだ。
 ああ、何てことだ。どうして、こんなことにまでなったのか。


 物語の全ては、数年前に始まる。それは、同じように龍司が怒って人にパンチを食らわせたことを発端としてのことだった。場所は、千葉の幕張メッセ。殴った相手はアメリカ人で龍司の上司であった。

第2章へつづく。

この小説の著作権は、ブログの管理者マサガタこと、海形将志に帰属します。
by masagata2004 | 2010-05-25 20:06 | 沖縄 | Trackback | Comments(0)
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