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映画「祝の島」 瀬戸の原発と戦う人々

たまたま無料で放映していたので観賞。

1982年、山口県の上関町田ノ浦に原発の建設計画が発表されたが、その田ノ浦から海を隔てて4キロ程先に住む祝島の人々の日々の営み、島に対する想いが語られるドキュメント。

内容的には淡々としたもの。

住民の多くは高齢者なので、じじ、ばば、談義といったところ。主な産業は漁業だ。原発が建設されれば間違いなく温排水により漁場が壊滅的打撃を受ける。美味しい魚がたくさん捕れる宝の海を守るため、埋め立て作業に対して抗議の船を出し続けている。

島に対する愛着はもちろんだが、瀬戸内海にある小島なので、漁業以外に棚田を使った農業をするなど自給自足主義である。また、島から他のところに容易に移動できないという地理的不便さから、島から離れて仕事に行くことができないので、電力会社からの漁業補償金を受け取るメリットをあまり感じないというのが、同じ上関町の本土部と違い、反対論が強い理由である。

しかし、この島の人々の生き方は、日本人の多くが忘れかけているコミュニティの原点や大切さを思い起こさせている。

海は金では買えないものだということ。原発なんて一定期間、電力を流すだけ、その間に恒久的に汚水を海に排出し続け、漁場を駄目にする。それは祝島の海だけではなく、瀬戸内海全域に及ぶかもしれない。

目先の利益にとらわれ、本来見るべき、もっと大きなもの、生活基盤がどうなるかということを忘れている。

生きていくためにはお金や電気よりも、食うための魚を獲る漁場、作物を植える土壌、そして、安全で快適な住処がまず必要だ。言い方を換えれば、それさえあればいいのではないか。もちろん、祝島の人々も、それだけで生きているわけではないが、基本的に社会の基礎というものは何かと考えれば、おのずと、こんな揉め事を起こしてまで、原発を建てる意義などあるのか、答えが見えてくると思う。

ちなみに原発が温室効果ガス削減につながる環境に優しいエネルギーだという考えは、実は大間違いである。電力会社の大嘘プロパガンダに乗せられているだけ。

安全性の議論は別にして、問題なのはコストの問題。炭素ガス削減をするためにどれだけ原発を造らなければならないか。発電した後の核廃棄物の処理はどうなるのか、などなど、知れば知るほど首をかしげる事実に直面する。

これに関しては、明後日、この映画を観たのと同じところで観る予定の映画で詳しく学べるかもしれない。なので、乞うご期待。

ちなみに、祝島の原発抵抗運動は現在進行中で、今やこれまでになく緊迫した状況だということ。それに関しては以下のサイトと私が書いたJANJAN記事をお読み下さい。

祝島島民の会のブログ

瀬戸内海原発建設を阻止せよ 参院議員会館での集会参加報告

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by masagata2004 | 2010-10-22 15:25 | 映画ドラマ評論 | Trackback | Comments(0)


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