死刑を考える映画「休暇」 第三の感情論

私は死刑反対論者である。その視点で映画を観た。

ストーリーは、見合いで子持ちで再婚の女性と結婚することになったベテランの刑務官が、結婚式と新婚旅行のための休暇を取るため、死刑での「支え役」を引き受けることになる。この支え役というのは、絞首刑において、吊り下がった囚人の死体がばたばたしないように抱き締めて固定させる役目である。そのため、執行後、担当者は1週間の休暇を取ることが許可される。

しかし、そんな酷たらしいことをした後に、結婚式と新婚旅行をするというのは、なんとも理解に苦しむ。だが、そこに映画の伝えようとするメッセージがあったように思える。それは、あくまで死刑を悪とみるとか、そういうことでは必ずしもない深い意味が込められていたように思える。

死刑反対論者としての主張として、まず、冤罪による死刑が避けられない現実がある。日本においても、世界の他の国々おいても、司法は完璧とはいえない。なので、冤罪による死刑は必ず起こるといっていい。法律は一度、制定されれば全ての人々に網をかけてしまうことになるので、自分は巻き込まれないとはいえない。

次に挙げるのは、この映画で描かれているような死刑の執行をする刑務官の人々の立場だ。死刑の残虐性や囚人の人権が死刑反対の理由によく掲げられるが、それに対しては、さほどの関心はない。死刑の判決を受けた者は、冤罪でもない限り、殺人を犯した人物であるため、自業自得であるといえる。だが、執行する立場の人にとってはどうだろうか。いくら職務だからといって、生身の人間に手をかけることなどできようか。その人物が、どんな極悪非道な人物であれ、本能的、また感情的に実行が可能だろうか。でも、死刑制度がある限り、誰かがしなければならず、これまでしてきた人々がいたのだ。そんな残虐な役を担う人達の人権こそ考慮すべきではないか。

死刑に賛同する人々は、自分も同じことをする立場になることを想定して考えなければいけないのではないだろうか。世間一般では、死刑に賛同意見が多いと聞くが、実際のところ、多くの人は、その死刑の実態を詳しく知らない。

また、実をいうと世界的には死刑を廃止している国の方が、死刑を認めている国より多いという現実もある。日本は実をいうと少数派なのだ。また、こんな話しもある。フランスでは、1980年代までギロチンによる死刑が執行されていたが、ミッテラン大統領により死刑が廃止された。廃止を決めた当時は、死刑存続を認める意見が断然多かったが、現在では廃止を支持する意見の方が多いという。

「悪いことをしたのだから、死刑は当然の報いだ」といえば、実に簡単だが、いざ、その現実を目の当たりにすれば、誰もが再考しなければいけなくなると思う。そして、死刑を認めないという決断をすることにより社会が乗り越えられるものがあるような気もする。

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by masagata2004 | 2011-11-03 12:56 | 映画ドラマ評論


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