NHK朝ドラ「花子とアン」に夢中

はっきり言って、私はNHKの朝の連続テレビドラマは好きではなく、これまでまともに観たことがない。

どれも、ある一定の既定路線で、わざとらしく、結局は、ハッピーエンド。毎朝観るに値する内容ではないと常に思っている。

だが、実をいうと今回のだけは違う。これはなんでも実在した人物の伝記を基にしている。それも自分にとってはとても親しみの持てる仕事をしていた人。翻訳家が主人公だ。

村岡花子という翻訳家で、あのカナダの名作「赤毛のアン」を日本で初めて翻訳して紹介した人物である。

生まれは19世紀の末期で、その後、東京のカナダの宣教師が創立させた女学校に入学、そこで英語を学び翻訳の道を志し、ラジオ番組のアナウンサーも務めた。第2次大戦中、カナダ人からもらった「赤毛のアン」の本を秘かに翻訳執筆。戦後、出版させ日本に大ブームを巻き起こした。そのおかげで、カナダのプリンスエドワード島は、毎年、日本人観光客で一杯で島の経済に大きく貢献しているという。

ドラマは、そんな村岡花子の半生をフィクションを交えながら展開している。

ドラマでは、その村岡花子の生涯だけでなく「赤毛のアン」のオマージュも多々見受けられる。石板でクラスメートを叩いたりするところや、花子が奉公に出されるはずだった先が、男の子を必要としていたので、花子が拒否されるなど、敢えて「赤毛のアン」と村岡花子の人生を絡めているのが粋である。

また、番組中に出てくる英語学習とそれを翻訳する場面がいい。ラブレターを読む場面で、"Since we met, not a day has passed that I have not thought of you."(あなたと会ってから、あなたのことを考えない日がありません。)ととても詩的な表現が学べた。

翻訳に関しては、自らも悩む自然な訳とは何かということ。
英語の授業で"My hair is turning gray. That is a long story."を「私の髪の毛は灰色になっています。それは長い話です。」と訳すか「髪の毛に白髪が増えてきています。話すと長いのです。」と訳すべきかという論争場面は実に意義があるもの。

もっとも、フィクションだから、全てが事実と捉えてはならず、脚色が多々あり、わざとらしい家族愛なんてのも混じっているのが、しっくりいかないのだが、それにも増して、こんな人生があったのだろうか、あの時代にこんなことがあり得たのかという事実が学べて、そのことに感動を覚える。以下、二つの事柄がそれだ。



一つは、村岡花子が入学する女学校は、カナダ人宣教師が明治後期に創設したところで、現在も運営されている「英和女学院」だ。ドラマでは、その時代のキリスト教系の寄宿女学校の生活が描かれ、あんな時代に遠いカナダから女性宣教師たちがわざわざ来て寄宿学校を建設して有力者の子女を入学させていたということである。

宣教師たちは大した人たちだと敬服するが、それほどまでに当時の日本が西洋式教育に熱心だったということも意味する。当時としては最先端の教育である、村岡花子はそんなに裕福でない家庭に生まれながらも、給費生、つまり寄付によってそんな教育を受けられたというのだ。これはキリスト教の慈善精神の発想によるものだったのだろうか。ついでにいえば、寄宿舎では礼拝があり、食事の前は「アーメン」という場面があったが、そんなことがあの時代の日本で許されていたということに驚く。少し前までは禁止されていたいうのに。それだけに、そんな寄宿学校を舞台としたドラマに浪漫を感じる。

もう一つの事柄は、その女学校で一緒に勉学をする華族の女性、後に白蓮という名の歌人として知られることとなる美女で、他の女学生より8歳も年上という中で勉学に励み、学校に入る前は結婚をして子供までいたという。当時らしい話であるが、その白蓮は、後に大金持ちの男と再婚して、その結婚生活に満足できず年下の男と駆け落ちをしてしまうのだ。

絶縁状を新聞の紙面に出し、当時としては大スキャンダルを起こす。そのうえ、当時は女性の不貞を罰する姦通罪なるものがあったのだから、それは命がけの恋。だが、結局それをなし得たというのだから凄過ぎる。ドラマでは、そのエピソードが村岡と白蓮の友情物語を交えて展開されていくという。観るのが楽しみでならない。特に、その白蓮役は着物姿が美しい仲間由紀恵がするのだから、いい目の保養にもなる。

NHK、時にはグッジョブするね。
by masagata2004 | 2014-04-27 19:55 | 映画ドラマ評論


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