映画「SAYURI」評論2 時代考証はハリウッドの方がbetter?

といえる点があったので、その点を言わせてもらうと。

夜の宴会のシーン、薄暗くぼんぼりの灯る座敷で、芸者の顔はオレンジ色にともされ、うっすら。日本の芸者が出るドラマだと時代が昭和初期であっても、座敷は蛍光灯があるように明るい。「長崎ぶらぶら節」(*)という映画を思い出すと、そうであった。

当時の電灯といえば、40ワットが普通の家庭で使われる標準だったと聞く。芸者の来る座敷だって、そんなに明るくできたわけじゃない。蛍光灯なんてなかったんだから。

だから、ぼんぼりが照らす薄暗い座敷で、白粉の塗られた顔がオレンジ色に見えるのが、当時の夜の宴の姿だったのではないか。

また、街中が提灯で照らされているのも、実際、当時らしいといえる。電気の街灯の明るさだけでは、街は暗くて歩けなかったのではと思うとそうかなと思ってしまう。

昭和30年代ぐらいまでは、日本人の7割が夜10時前に就寝していたと聞いたことがある。それだけ、夜は暗くて楽しみにくかったということか。

考えてみれば、日本の時代劇には、そもそもから数多くの間違いがある。

例えば、江戸時代を舞台にしたドラマで当時の女性を演じる女優の歯はみんな白いが、実を言うと、当時の既婚の女性は歯を黒くするお歯黒をしていたのだ。だから、お歯黒をしたおっかさんが出てこないとおかしいのだ。今までお歯黒女性を日本の時代劇で見たことないのはすごく不自然だ。

ハリウッド映画における日本の時代描写で不愉快な思いをするのは、それが当時の日本を忠実に表してないからではなく、日本のドラマや映画で見られる描写と違うからなのではないか。

ところで、「SAYURI」を見ていると、アメリカのホテルで食べた和食を思い出してしまう。アメリカン・テイストの日本食ってとこか。今や、日本人だって着物を着れる人は少ない。かくいう私もそうだ。むしろ、この映画を機会に、日本文化にみんなが目覚めればいいのではと思う。

それから、英語で台詞を言い演技する桃井かおりが、おそろしく味があってよかった。ミッシェル・ヨーも、姉御肌の芸者という感じがすごく良かった。007のボンド・ガールとしての印象が強かったが、こんな演技まで出来るとは実に幅が広い。

ところで、私は昔「祇園囃子」という映画をアメリカの大学に留学中、講義の中で見たことがある。これは戦後の祇園芸者の話だが、ある新米の芸者が客とトラぶったがため、姉さん芸者が穴埋めのため、その客と一夜をともにするという話し。最後は、ハッピーエンドのようで悲しい。

新米芸者にとっては、芸者は芸を売る仕事と思っていたのが、実際は違ったことを思い知らされるという筋。講義は、中国と日本の女性の歴史について学ぶ内容で、どちらも厳しい時代を体験してきたことを学んだ。

まあ、「SAYURI」もそんなことがテーマだった気がする。耐え忍ぶ日本女性というか。

いい加減にしてという人もいるだろうけど。

(*)当初、映画「あげまん」を例にとったのは間違いでした。

映画「SAYURI」 チャン・ツィーさんにすまない思いも読んでね。
by masagata2004 | 2006-01-05 21:03 | 映画ドラマ評論 | Trackback(1) | Comments(6)
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Tracked from 小人閑居日記 at 2006-01-07 18:07
タイトル : 「SAYURI」
外国の日本食レストランに入り、和食を注文する。そこで出されたものに吉兆ほどの繊細さがなかった、現地で入手困難な食材が似て非なるもので代用されていたからといって、いちいち咎め立てたりするのはオトナゲないというものである。 日本を題材にしたハリウッド作品、ということで見る前から心の準備だけはしておいた。これはアメリカ人が書いた小説をアメリカ人が映画化したのだから、「どこが違う」「ここがヘン」などというベタなツッコミはするだけ野暮、それよりファンタジーを楽しもうと。 しかしその決意は、映画の冒頭...... more
Commented by fuzika at 2006-01-09 05:05
masagata2004 さん、先日から訪問&カキコありがとうございましたァ!!
私も この照明(ランプ)のことは近いうちに 例のシリーズで綴るつもりだったんですよォ。
共感できます!昔はみんなあれ程の暗さだったんやし‥
だから "白塗り" が誕生したわけで。
お歯黒のお話も最高です! (゜∇^d) グッ!!


Commented by masagata2004 at 2006-01-09 14:19
fujikaさん、シリーズ続編、楽しみにしています。今こそ、日本の伝統に目覚める時ですよね。
Commented by aoinote101 at 2006-01-16 09:48
こんにちは。
「SAYURI」観てませんが、
>英語で台詞を言い演技する桃井かおりが、おそろしく味があってよかった
というのに反応してしまいました。観たくなっちゃった。

>ミッシェル・ヨーも、姉御肌の芸者という感じがすごく良かった。
「グリーン・ディスティニー」での彼女が好きです。

なんか、着物着たくなっちゃいました。
Commented at 2006-01-16 09:51
ブログの持ち主だけに見える非公開コメントです。
Commented by masagata2004 at 2006-01-17 21:24
私も着物が着たくなりました。今度お金貯めて買ってこようと思います。
Commented by fuzika at 2006-01-22 09:40
masagata2004さん>
いつもコメント残してくれておおきに☆
映画のおかげで 私のブログを海外の人も興味を持っていただき、今回の出版に‥
ほんと、運がよかったのですゎ。
日本と比べると出版業界の規模や物価をみても印税なんて ほんのちょっとだけど、自分の半生というか記録が本に残ることは嬉しいお話でした。
ちょっとSAYUIRIシリーズが中断してるから、また再開しなくちゃね(笑)


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