独映画「白バラの祈り」 ドイツ人も被害者だった

今日、昼に有楽町に行って、ドイツ映画「白バラの祈り ゾフィー・ショル 最後の5日間」という映画を見に行った。とても暗く重い映画だった。全体的には、ドキュメンタリー的で淡々と進行する映画だった。

映画は、ナチス支配下のドイツ・ミュンヘンで大学生が、反ナチスの抵抗運動を喚起するため大学の構内にビラを撒いたため、逮捕されるところから始まる。

この話は実話である。そして、白バラというのはその抵抗運動をした大学生グループの名前である。ドイツ人の中でも、ナチス体制に抵抗した人々がいるということが如実に表されている。

主人公ゾフィー・ショルは、21歳の女性で、信念を捨てることを拒んだため、処刑されてしまう。彼女は、ナチスが精神障害者やユダヤ人を収容所に送るところを見るたびに心を痛め、ナチスに強い抵抗心を抱いたと語る。また、当時、スターリングラードなどの東部戦線で多数のドイツ兵が死んでしまうほど戦況は逼迫していたため、このまま破滅するより敗北することを選ぼうとドイツ人に呼びかけたかったという。

彼女が裁かれた裁判はまさに裁判官の独断で進行され、裁判など名ばかりであった。それは、当時のドイツ社会がいかに変質しているかを象徴するかのようである。

ドイツは第1次世界大戦後のベルサイユ条約、そして世界大恐慌と社会はどん底状態であった。その時に、あのヒットラーが現れた。不況を克服した後、ヒットラーはとんでもない野望を成し遂げようとする。第3帝国領土の拡大、ユダヤ人の抹殺。国民は、精神の自由を奪われた状態で、独裁者に追随するしかなかった。だが、それでも自由を求める人々はいた。

ややドイツ人の自己弁護的な面が見られる映画であったが、これも戦後60年経って、過去の克服に一区切りがついたからこそ作れた映画だったと思う。

だが、当時同盟を結んでいた日本はどうなのだろうかと、いつもながら、つい比較してしまう。映画館に来る前に書店に立ち寄ると、ところ狭しと反中・反韓イデオロギーを売り物にした雑誌が、欲求不満者のごちそうのように並べられてあった。これから、戦争でもしたいかのような、主観的、感情的な論説が繰り広げられている。書いていることには、事実誤認が実に多い。だが、売れるからこそ出版社はこういうのを市場に出すのだろう。これを読むものは、半ば本気で「日本人として誇りを持って生きられる」とか信じているらしい。そして、他の意見に耳を貸さない。まさに世も末である。

こんな方向に社会をもっていけば、映画でゾフィー・ジョルがいっていたように自国を世界から蔑まれる存在にしてしまうのでは。そして、誇りを失い、先祖が築き上げた伝統ある日本を破滅させてしまうのでは。先祖の負の遺産をきちんと受け継ぐ覚悟がないからこそ起きる悲劇なのかもしれない。

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by masagata2004 | 2006-01-28 21:28 | 映画ドラマ評論 | Trackback | Comments(1)
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Commented at 2007-08-07 21:18
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