慰安婦・強制連行否定の小室氏を師と仰ぐ宮台氏

先日、書店でたまたま小室直樹著の「日本国民に告ぐ」という本を目にし、ちょっと立ち読みしてみた。目次のところには、「強制連行はなかった」「慰安婦はなかった」「中韓に媚びるな」というような題目が目白押しだった。

強制連行や慰安婦は、裁判所も政府も事実の認定を過去に行っているもので、とても学識者とは思えない内容の書籍だと思った。

驚くことにこの小室氏は、私が毎週視聴していたネット放送ビデオニュース・ドット・コムで、解説者を務める宮台真司が師と仰ぐ学者だという。宮台氏は、番組の中で「つくる会の教科書」や小林よしのりのゴーマニズム宣言に見られる歴史修正論や偏狭なナショナリズム現象を「ヘタレ保守」といい批判している立場をとっている。最近では、このような現象を「バックラッシュ現象」として分析する書物を発表するという。

ビデオニュースでは、小室氏をゲストとして招待し憲法論について語ったことがある。宮台氏も解説者として小室氏の言説を補足していた。丁度そのころ、中国で反日暴動が起こったため、そのことについてコメントを司会の神保氏に求められると「こんな中国には日本は資本投下をやめるべきだ」という発言をした。宮台氏は、その時、中国とは政府だけでなく人民とも付き合っていく必要があるんですよね、と何とか覆すように説いていた。その後、論議は深入りしなかったので、どういう本意があるのかは定かにならなかったが、この書籍ではっきりとした。

ただ、どうも分からないのは、宮台氏である。番組ではあれだけ、そういう立場の人を批判しておきながら、今度、それと同類ともいえる人を恩師として仰いでいる。今度のヘタレ保守現象を分析をした書籍では小室氏も分析対象にするつもりでいるのか。
この宮台氏とともに小室氏を招待させ憲法論を語らせたビデオニュースにも驚くばかりである。

ただ、これが言論人とメディア人の限界なんだろうと思う。これはリベラル、保守どちらの立場にも共通するのだろう。身内の批判はできない、ということか。まあ、それはそれでいいのだろう。

以前、ビデオニュースで「石原都知事は弱者の味方だ」と発言し、支持を表明した田中康夫長野県知事に対し、特に言及することなく同意するような態度を批判したことがあったが、その時、宮台氏は「その時は、言及しなかっただけで、賛同したわけではない」と回答した。

だが、田中知事の開かれた県政を応援する市民派の立場としては、いかしかたない面もあったのだろう。しかし、私個人としては、それ以来ひいてしまった。小室氏のことでは、さらに引いた。

そういえば、最近他にも、同じような気分を味あわされた人がいる。情熱のジャーナリストシバレイだ。市民派のフリー記者で、イラク戦争では人間の盾となり反戦活動と取材をした人だが、それ以外に環境問題にも熱心だ。つい最近、自身のブログでグリーンピースの原生林保護運動を紹介し、支援を呼びかける記事を書いていたが、グリーンピースの捕鯨反対運動の政治姿勢や違法ともいえる抗議行動についての批判に対しては、グリーンピースをただ擁護する発言しかしていない。

まあ、学者もジャーナリストも人の子、聖人ではないということだろう。それぞれが、それぞれの立場で発言や行動をするが、時に身内が絡むと自らのポリシーを曲げざる得ないこともあるのだろう。身内が絡むと批判することは「自虐的」になり、それがたまらなく嫌なのだろう。

まあ、受け手はその点を割り切って見るべきということか。
by masagata2004 | 2006-04-16 16:17 | メディア問題 | Trackback | Comments(5)
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Commented by myogab at 2007-09-15 09:01 x
そのような自称保守らがバカだなぁ…と思うのは、潔癖症よろしく「なかった」と言いきってしまうこと。
例えば、「○○の真実」だとか、「○○の実例」とかの表題で、無かった証明にしたい(している)事例をそうとは言わず、ただ具体的事実、実在したただの一例として上げるだけに止めればいい。そうすれば、その「事実」は、「なかった」と思いたい連中の内々だけに留まらず世間に伝播しうる。また、保守を軍国主義と混同する輩からの過剰な攻撃に曝されることもない。「あったかもね」と宜無く答えていればいい。そうすれば、「なかった」と思いたい連中の比較的好ましい世論が…究極的に無かったと言い切れるまでに至らなくとも…「常識」として定着することもできなくはないであろうのに…。
あえて「なかった」と言い切り、いわゆるサヨク連中を刺激することで、感情的でヒステリックなそれら連中のキャンペーンの餌食にされてしまう。目的が存在否定にあるならば、愚かしい限りだ。
Commented by myogab at 2007-09-15 09:01 x
しかし、逆にこうも考えられる…そのような手法をあえて取るならば、悪魔の証明的に「あったかも知れない」ことを強調する結果になるのは自明なわけであり、実際はそれを「こそ」が目的なのではないか…と考えられなくはないわけだ。
常に、表面的に語られ主張されている内容が、「真意」であるとは限らない。
Commented by myogab at 2007-09-15 09:02 x
…といった観点からはどうでしょうね?
Commented by たなべ at 2008-06-21 03:21 x
残念ながら、貴方はメディアが担うべき役割の本質を理解していないように思います。
メディアに求められる「中立性」とは、すなわち1つの政治的立場をとったとしても、それに対する反論権が用意されているかどうか、という点に尽きます。
事なかれ主義や大衆迎合的な「中立性」ではありません。
マル激でのゲストの多彩な顔ぶれは、前者の意味での健全な「中立性」がある程度は確保されていることの証左だと私はとらえています。
ちなみに私はネット右翼の類ではありませんが、「強制連行」にだけはかなりの虚構性を感じています。もう少し幅広い情報源に接してみては如何でしょうか。
Commented by 老胡蝶 at 2011-10-18 17:16 x
宮台さんは著書でもいいますが小室氏の圧倒的な知識を背景とした何かに感染したといいます。人を動かす力です。だから思想は違えど師と仰ぐ。何の矛盾もありません。人の力、というものを軽んじすぎでは?
ちなみに小室氏は人格的に素晴らしくはなかったそうです。


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