アーロン・スペリングという善のマキャベリスト

何でも、先月、アメリカ・テレビ界の大物プロデューサー、アーロン・スペリング氏が83歳でお亡くなりになったそうだ。スペリング氏と言えば、70年代は「チャーリーズ・エンジェル」、80年代では「ダイナスティ」、90年代から「ビバリーヒルズ青春白書」や「メルローズ・プレース」などの大ヒット番組を手がけてきたことで有名だ。どれも、時代を代表するほどヒットした番組だ。彼の番組は、ある種の大衆迎合型と揶揄されているが、しかし、そこに彼なりの世の中をいい方向に変えていこうとするマキャベリズムが表れていたと思う。

何でも、スペリング氏はユダヤ系でそのことで少年時代は差別を受けた経験があったという。彼の番組には、彼の弱者への共感が込められているのでは。

チャーリーズ・エンジェルでは、3人の女性探偵が自らの力で事件を解決するというところから、それ以前の男に助けられながら生きていた女性像を見事に変えていった。もちろん、ファラ・フォーセットのようにセクシーな女優がビキニ姿になる低俗な部分も織り交ぜはしたが、何とか自立する女性のイメージ普及に役立ったのではと思う。それ以後、女性が主人公のドラマが増え、女性が警官などになりアクションをこなし、また、美しさだけでなく知性で勝負するキャラクターが映画やドラマなどでしばしば見受けられるようになった。

ダイナスティは、80年代ヒットした典型的なソープオペラ(メロドラマ)だ。コロラドの石油王一家の愛憎を描いたものだが、この中には、その一家の跡継ぎである長男スティーブンが、ゲイであることが問題となる。ドラマの第1話から大きなテーマとなる。すったもんだの挙げ句最終的には、ジョン・フォーサイス演じる父親のブレイク・キャリントンは、そのことを受け入れる。

20年以上前で、アメリカでも同性愛が今ほど社会的に受け入れられてなかった時代においては大いなる挑戦だったのであろう。しかし、その後のアメリカは、社会が同性愛に対し寛容になっていき、結婚を認める州まででてきた。上流階級社会を舞台にしたソープオペラとデリケートな同性愛問題を絡ませ、大衆迎合しながら、新しい時代の流れを考えさせるというすご過ぎる挑戦を成し得たのだ。ところで、父親役のフォーサイスは、チャリ・エンでは謎のボス、チャーリーの声を演じていた俳優だ。

ダイナスティ後のテレビや映画では同性愛者のキャラクターが登場するのは珍しくなくなった。「メルローズ・プレース」にも、ゲイとレズビアンはどちらも登場し、肯定的なキャラクターとして描かれている。大衆迎合しながらの社会啓蒙をするところがすごいなと思う。

つまり、これはマキャベリズムなのだ。世の中を変えていくためには、最初から正論をぶつけても駄目だということ。大衆は意外にも保守的。そういう連中の考えを変えさせるには、まずは飛びつきやすいものを提供する、それから、じわじわとついていけるペースで引き込んでいくのだ。もちろん、飽きさせないように面白いものも混ぜ合わせながら。気が付いたら啓蒙されてしまっているという具合にね。セクシーなビキニ女性とウーマン・リブ、上流階級の愛憎劇と同性愛者の人権みたいに。

エンターテイメントといえどバカにはできない。たかが娯楽、されど娯楽ということか。

以下は元記事と、その記事のあった私のお気に入りサイトである。
チャーリーズ・エンジェル、良かったな。

Charlies Angels.com

Aaron Spelling Dies at 83

Aaron Spelling the man behind Charlie's Angels and one of Hollywood's biggest producers of TV shows has died.

Spelling, who was 83, died today at his home in Los Angeles after suffering a stroke on June 18, according to publicist Kevin Sasaki.

We will all miss Spelling, but he will be remembered around the world for having brought entertainment into our homes daily. He will live on with reruns and the fans who loved his shows.
by masagata2004 | 2006-07-18 22:32 | メディア問題 | Trackback | Comments(0)
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