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私の「新風舎」共同出版体験

Excite エキサイト : 社会ニュース

これは昨年の4月に投稿した記事です。2008年1月に新風舎は倒産しました。

どうやら、新風舎という出版社で、自費出版を依頼して酷い目に遭った人達がいるようだ。新風舎を提訴だってさ。このことはJANJANというネット新聞でも話題のトピックとなっていた。

実は、筆者も新風舎を通して、自作の小説を出版して貰った経験がある。筆者の場合は「共同出版」という形態であった。だが、結果としてひどい体験はしなかった。

それは新風舎の出版賞に応募して、結果、受賞は何もできなかったものの、その後、新風舎より「共同出版の案内」なるものが届いた。当時、大学を卒業したばかりで就職先も決まっていなかった折り、東京の国分寺にあった新風舎を訪ね、担当者から話しを聞いた。共同出版は、自費出版と違い、出版社が費用の一部を負担するもので、通常の自費出版と違い、商品として扱うのでISBNコードが貼り付けられ市場に流通する出版物とみなされるものであると説明を受けた。

筆者の小説は、本にすると60ページぐらいの短編であった。これを500部発刊するとして費用は100万円ぐらいになるとのことだった。新風舎はその3割ぐらいを負担するということで、筆者の支払い分は70万円ぐらいになった。一括支払いを勧められたが、就職先も決まっていないということでローンを、それも無職なので消費者金融を通してではなく、新風舎に分割払いという形で3年間かけて支払うローンを提示された。だが、頭金として30万円近くは支払わなければならず、それはたまたま手持ちがあったので支払えた。残り40万円近く(利子は別)を以後3年かけて支払う契約を結んだ。無職の自分にそれだけのローンをして貰えることが意外に思え、それなりに見込まれているのかと考えたりした。

数ヶ月後、著者引き取り分の100部が届いた。表紙のイラストは自分の書いた小説のイメージ通りで満足がいった。小説の中身も担当者の方と何度も手直しをしたため、それも満足な出来であった。書店には置かれることはなかったが、雑誌に新風舎の新刊本リストの1項目として広告掲載がされ紹介されることになった。

実を言うと私も契約当初から胡散臭いとは思っていた。だが、それでも契約に踏み切ったのは、個人的な理由があった。

私は小説家志望であった。しかし、ある日、霊能力を持ち、霊言がよく当たるという霊能者に、自分の夢が叶うかを訊いてみた。すると、霊能者は「考えない方がいい」とかなり否定的な答えを出した。なので、その霊言が外れてくれないかと願う気持ちがあり、形だけでも小説家デビューを果たしてみたかった。

もちろん、その後、私の小説が有名になったりしたわけではなく、小説家として収入を得ることもなかった。唯一、形だけ新風舎から400部の印税を2万円ほどいただいただけである。ちなみに60ページの短編なのに代金は1050円であった。売れるはずがないと思っていた。

ただ、新風舎が自費出版や共同出版で応募者を食い物にしているとは考えもよらなかった。私が契約をした後、新風舎とは関係ない人から新風舎で自費出版した本が新聞で紹介され、それが別の出版社で文庫本化されたという話しを聞いた。実際に、そういう小説家デビューの支援をやっているとの話しを外部で聞き、ほっとしたのを覚えている。だが、これはずいぶん前のこと、現在はどうか知らない。

あの時の担当者の話しでは、出版物は断然、小説のようなフィクションではなく、実際の体験や事実を書き記したノンフィクションの方が市場に対しては売り込みやすく、無名な人が小説家としてデビューするのはとても難しいという。作家として成功する要素の大半は運によるものだと聞いた。そんなの分かりきっていることなので、小説家になれないことに別に失望はしていない。仮に出版社が費用を全額出資した本を出せた作家でも、それで暮らしていけている人は全体の一握りしかいないと思う。

ところで、筆者は、現在はブログ上で小説を書いている。インターネットの普及により、理論上、不特定多数の人に自作の小説を発表する機会が得られた。また、ブログで投稿したものを製本化するサービスを利用して写真のような紙の小説本(左側の本は新風舎刊本)も作れた。今も、ブログ上で恋愛小説環境問題をテーマにした小説を連載している。これからもどんどん書いていくつもりだ。所詮は素人の趣味の域を出ない作品だが、日記と違い、とりあえずは一般に公表していることになる。お金は稼げないが、それで満足である。

ただ、ブログのない時代、出版業の人々が関わってくれ、手にとって見ることのできる紙媒体の本を作れたことはかけがいのない体験であった。そういう体験を騙されていたかもしれないとはいえ、できたことには後悔はしていない。

私の新風舎本を欲しいなと思う人は、メールかコメントでお知らせ下さい。送料を含め無料で差し上げます。

私の「新風舎」共同出版体験_b0017892_14495399.jpg


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by masagata2004 | 2007-07-04 22:02 | 自作小説 | Trackback | Comments(3)
Commented by bu at 2007-07-05 09:52 x
新風舎の記事には驚きました。
実は私も今まさにその新風舎から「自費出版」をするところなのです。印刷の手前なのですが…。私はいまのところとてもいい具合に新風舎とおつき合いさせていただいていますし、得にその本でもうけようとか思っていないので、あまり気にならないですけどね。とにかく自分の名前で本が出せるということだけで満足してるのですけど…。やはりこの記事は残念でしたね。
Commented by 家モン at 2007-07-09 14:36 x
こんにちは。この問題はいろいろと根が深いようですね。特に今後問題とされるだろうと予測できるのは、「コンテスト商法」「費用のボッタクリ」。コンテストを開催して人を集め、高額な出版サービスを契約させる。実際には制作費と宣伝費・人権費込みで50万円で本を作れるのに、「150万円かかる」とウソをいい、著者に費用の水増し請求をする。「あなたが当選しました!」と言って客を集め、1万円の布団を10万円と偽って販売する商法と類似したものを感じます。今後も裁判の行方に注目していきたいですね。
横レスですがBuさん、もし今回の騒動で出版社が倒産してしまったりしたら、著書が破産管財人に差し押さえられてしまう可能性があるので、早めに消費者センターに連絡して解約と返金または著書の引き取り交渉を進めたほうがいいですよ。
Commented at 2007-07-11 22:56 x
ブログの持ち主だけに見える非公開コメントです。


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