映画「オレの心は負けてない」 終わっていない従軍慰安婦問題
先週土曜日は、映画の日で、1000円で観賞できるということでふと通りかかった映画館でドキュメンタリー映画を観た。
題名は「オレの心は負けてない」というもので、宋神道という名の朝鮮出身の女性が、自ら慰安婦とされた過去に対し、向き合い、90年代、日本政府に対して謝罪と賠償を求める訴訟を起こした記録である。
このようなテーマを聞いて、抵抗を持つ人もいるかも知れない。だが、日本人なら誰でも関心を持つべき日本史の暗部をほじくり出す内容である。従軍慰安婦に関しては、南京虐殺と並んで、否定論がくすぶっているが、この映画の中でも説明があったように日本の裁判所も事実を認定して、国家責任があったことを認めている。最近では、国内に留まらず、アメリカ、オランダ、カナダの議会で日本に謝罪や賠償を求める決議案が可決している。今や、世界が注目する問題となってしまった。
裁判は、「在日の慰安婦裁判を支える会」の女性達が執り行い、宋神道さんと共に彼女たちの活動も記録されていた。宋神道さんは、慰安婦という過酷な人生を歩んだとは思えないほど、快活な話しぷりをする女性であった。支える会の女性達は、この老女からいろいろなことを学んでいく。裁判は、最高裁にいたったが、結局のところ、賠償を請求するには至らなかった。事実認定はされたものの、司法の限界というところだったのだろうか。過去の日本がしたことを新しい日本の法律で裁くというのには無理があるということだろうか。
そもそも、これは政治が解決すべきことなのかもしれない。93年に河野談話があり、そして、民間基金による補償をしたが、それは公式とは言えず不十分なものであった。その後は自虐史観否定の嵐にまみれ、ついには安倍前首相の「狭義の意味の強制はなかった」発言で、無反省ぶりをさらけ出す事態に。所詮は、それが日本の世論を反映したものとも言える。
しかし、希望がないわけではない。この記録映画で分かったように、日本女性が、宋神道さんを支えるため無報酬で戦い抜いたという事実があるからだ。日本の市民にまだ良心があるということだろう。私は、数年前から、南京虐殺の事実を世間に知らせる活動をしている市民団体と交流している。つい昨日、その団体の集会に参加したところだ。その時の報告をJANJANというネット新聞の記事として投稿した。
彼らの活動を「反日的だ」と非難する人は、あまりにも認識が不足していると思う。私は、むしろ彼らのことを誇りに思っている。
過去の過ちに向き合い、そして、二度と繰り返さないようにする努力を一人一人の市民が心掛けていかなければいけないのだ。それによって、新しい未来が築ける。
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題名は「オレの心は負けてない」というもので、宋神道という名の朝鮮出身の女性が、自ら慰安婦とされた過去に対し、向き合い、90年代、日本政府に対して謝罪と賠償を求める訴訟を起こした記録である。
このようなテーマを聞いて、抵抗を持つ人もいるかも知れない。だが、日本人なら誰でも関心を持つべき日本史の暗部をほじくり出す内容である。従軍慰安婦に関しては、南京虐殺と並んで、否定論がくすぶっているが、この映画の中でも説明があったように日本の裁判所も事実を認定して、国家責任があったことを認めている。最近では、国内に留まらず、アメリカ、オランダ、カナダの議会で日本に謝罪や賠償を求める決議案が可決している。今や、世界が注目する問題となってしまった。
裁判は、「在日の慰安婦裁判を支える会」の女性達が執り行い、宋神道さんと共に彼女たちの活動も記録されていた。宋神道さんは、慰安婦という過酷な人生を歩んだとは思えないほど、快活な話しぷりをする女性であった。支える会の女性達は、この老女からいろいろなことを学んでいく。裁判は、最高裁にいたったが、結局のところ、賠償を請求するには至らなかった。事実認定はされたものの、司法の限界というところだったのだろうか。過去の日本がしたことを新しい日本の法律で裁くというのには無理があるということだろうか。
そもそも、これは政治が解決すべきことなのかもしれない。93年に河野談話があり、そして、民間基金による補償をしたが、それは公式とは言えず不十分なものであった。その後は自虐史観否定の嵐にまみれ、ついには安倍前首相の「狭義の意味の強制はなかった」発言で、無反省ぶりをさらけ出す事態に。所詮は、それが日本の世論を反映したものとも言える。
しかし、希望がないわけではない。この記録映画で分かったように、日本女性が、宋神道さんを支えるため無報酬で戦い抜いたという事実があるからだ。日本の市民にまだ良心があるということだろう。私は、数年前から、南京虐殺の事実を世間に知らせる活動をしている市民団体と交流している。つい昨日、その団体の集会に参加したところだ。その時の報告をJANJANというネット新聞の記事として投稿した。
彼らの活動を「反日的だ」と非難する人は、あまりにも認識が不足していると思う。私は、むしろ彼らのことを誇りに思っている。
過去の過ちに向き合い、そして、二度と繰り返さないようにする努力を一人一人の市民が心掛けていかなければいけないのだ。それによって、新しい未来が築ける。
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by masagata2004
| 2007-12-03 21:05
| 映画ドラマ評論
|
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Tracked
from 世界の片隅でニュースを読む
at 2007-12-13 22:24
タイトル : 南京大虐殺を告発して「自決」した軍人
今日12月13日は、日中戦争のさなか日本軍が中国の南京を陥落させてから70周年にあたる。 周知の通り、日本軍は南京への進軍から南京城内外での戦闘、さらに陥落後の占領に至る過程で、多数の捕虜、投降兵、敗残兵、住民の老若男女らを虐殺、強姦し、放火や掠奪の限りを尽くした(南京大虐殺)。残念ながら日本ではいまだにこの事件を否定しようとする人々が後を絶たないが、南京大虐殺は現地軍の軍人の日記や出征部隊の日誌などからも実証されている厳然たる事実である。 ところで、今年9月に発売された『世界』10月号...... more
今日12月13日は、日中戦争のさなか日本軍が中国の南京を陥落させてから70周年にあたる。 周知の通り、日本軍は南京への進軍から南京城内外での戦闘、さらに陥落後の占領に至る過程で、多数の捕虜、投降兵、敗残兵、住民の老若男女らを虐殺、強姦し、放火や掠奪の限りを尽くした(南京大虐殺)。残念ながら日本ではいまだにこの事件を否定しようとする人々が後を絶たないが、南京大虐殺は現地軍の軍人の日記や出征部隊の日誌などからも実証されている厳然たる事実である。 ところで、今年9月に発売された『世界』10月号...... more
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通りすがり
at 2008-06-20 22:05
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戦時中のことを実際に自分の目で見たことのない自分には本当のところはどうだったのかということはやはり分かりようがない。そういうことが絶対に無かったと言うこともできないし、あったと断言することもできません。ただ一つ確実なことは日本は戦争という大きな博打をうち、そして完膚無きまでに敗れ、無条件降伏をして掛け金を支払わざるを得なかったということです。その結果が東京裁判と思っています。それを否定しようとすることは言ってみれば賭には負けたけど、やっぱりあの賭は無かったことにして掛け金は返してくれと言っているのと同様であり、非常に卑怯な行動だと思っています。それにしてもこういう報道には右翼小僧達はまるきり反応してきませんね。
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