V.E.フランクル 「夜と霧」 極限状態の心理学

言わずと知れた心理学の名著。著者は、オーストリア人の精神科医で第2次世界大戦中、ナチスによりホロコーストといわれる強制収容を体験したV.E.フランクル。ホロコーストにより、妻子を失い、戦後、奇跡的に生き残った自らのホロコースト体験を綴り、精神医学の専門医として極限状態におかれた人間の心理を分析する。

著者の分析として最も印象に残ったのは、家畜同然に扱われた自分を含めた被収容者の極限状態にさえも適用する能力。生死の境をさまよいながらも、生き延びるため、生きる意義を見いだそうとする心理。もちろん、生き延びられたのは少数であったが、亡くなっていく者にも、自らの死を恐れず、中には神への感謝の意を表す者がいたということ。

また、被収容者も監視するナチの側、どちらにも、悪人、善人がいて、グループによって人間の善悪は区別できないという観察が面白い。

解放後の被収容者の心理とはどんなものか、それは、今のイスラエルに見事映し出されているといえる。自らの被害体験の極度さを自らへの特権意識とさえ感じてしまい、また、他の無関心に恐ろしいまでに憤る。

しかし、思う、どうして人間をこんな状況に追い込むほどのことをしたナチズムが、民主主義の中で生まれたのか。

そして、ドイツは、どうしてこれほどまでの残忍なことをしながら、戦後、EUのリーダー格となるほど信用を回復し得たのか。
by masagata2004 | 2008-07-06 19:55 | 書籍評論 | Trackback | Comments(0)
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