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映画「白と黒のナイフ」を思い出す

Excite エキサイト : 社会ニュース

ロス疑惑再燃、三浦和義氏が逮捕された。彼が実際に有罪であったかなかったか、また、すでに日本で無罪が確定した判決を度外視してまで逮捕や起訴に持ち込むことの是非は別にして、今回の思わぬ展開は、ある映画を思い出す。それもロス疑惑がとても盛り上がっていた時代に私が映画館で観たアメリカ映画だ。

舞台は、サンフランシスコ。後に私は、そこに大学留学することになったところ。グレン・クロース演じる女弁護士が、妻殺しの容疑で逮捕された男の弁護を引き受ける。男は、自宅に侵入した強盗に妻を殺され、自らも怪我を負わされたと主張。だが、検察は、自作自演と疑い男を逮捕、起訴する。

女弁護士には、過去に苦い体験があった。かつて検察にいたとき、被疑者の無罪を立証するかもしれない証拠が見つかっていながら何もせず、有罪を言い渡された男性を自殺に追い込んだことである。そして、彼女が弁護する男を起訴する検察官は、その過去の事件を一緒に担当した同僚だった。同僚の男は、野心家で、過去と同様、この事件でも勝って名をあげることを優先する姿勢だった。

その憎しみもあり、男を必死に弁護する。気付いたら、男に激しい愛情まで感じることに。

すでに20年以上も前の映画だから、思いっきりネタバレすると。裁判で無罪を勝ち取るものの、実は男は有罪だったという結末。そして、彼女自身が自ら男に裁きを加えることに。

推定無罪の難しさということがテーマだったような。

今回のケースも、それに非常に似ている。三浦氏は、妻を殺され自らも巻き添えを食らったと主張。だが、多額の保険金を受け取ったがために疑われた。果たして真相は。

だが、このロス疑惑、結局、ある種の社会問題を浮き彫りにした。司法プロセスの問題。そして、何よりも過剰に反応するマスコミだ。事件の真相よりも、考えるべきは、そんなことではないかと思わせる。

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by masagata2004 | 2008-02-26 20:56 | 時事トピック | Trackback | Comments(2)

砂嵐の日


by masagata2004 | 2008-02-23 23:08 | 風景写真&動画集 | Trackback | Comments(0)

あれ、春が来たの

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by masagata2004 | 2008-02-23 23:01 | 風景写真&動画集 | Trackback | Comments(0)

小説で地球環境問題を考える Last Part

地球環境問題を小説で説いてみようと思って書きました。自作小説ですが、環境問題を考えるための記事と思ってください。

熱帯雨林を守ろうと奮闘する環境活動家と破壊を進める国家及び企業の対立から浮かび上がる不都合な真実。

まずはPart 1からPart 23を読んでください。Part12(蛇の写真付き)からPart13への移行にトラブルがあって続きが読めなかったようです。ごめんなさい。もう修正しましたので、ご確認下さい。

 安藤健次と父、明智清太郎であった。目の前の清太郎は、日本の病院で見た姿とは、見違えるように変わっていた。血色がよくかつての大商社社長の威厳を堂々と見せるあの父の姿に戻っていた。
「お父さん、もう大丈夫なの?」
「ああ、健次くんのくれた薬草が効いたらしくてね。全く元のままの健康体になっている。信じられんよ」
 清太郎は、微笑んで由美子に言った。
「信じられないわ。もう末期癌で死ぬことを覚悟していたのに。今まで、ずっと心配していたのよ。全然、連絡が取れなかったから」
 由美子は、何度も日本へ電話を入れた。しかし、不思議なことに野村総合病院には「明智清太郎」と名乗る患者はいないと取次いでくれなかった。明智邸にも会社にも連絡したが、父の所在は分からないという。一緒にいるはずの安藤に連絡しようと彼の自宅や携帯にも電話したが、全くつながらなかった。どうしたことかと心配でならなかった。日本に帰国したかったが、クアランコク検察庁から事件の関係者という理由で出国を許されなかった。
 健次が、今までの事情を説明した。
「実を言うと、急いで別の病院に移ったんだ。主治医の野村院長が、あの石田英明という男とグルだったことが分かったんだ。クアランコクで石田が死んだニュースを聞いて、極秘だった親父さんの病状を逐一あの男に知らせていたことを告白したんだ。罪の意識にさいなまれたらしい。あの男が、会社乗っ取りを企んでいたことも知らされた。院長は明智物産傘下にある銀行から融資を得るため石田の助けを借りたんだ。その見返りとしてやっていたことだったんだ。薬を飲んだ次の日に親父さんの容態が急激に改善したから、そんな信用のおけない奴に診てもらうわけにはいかないと、俺の知っている癌専門の医者のいる病院に移ったんだ。もちろん、野村院長には転院先は告げずにな。とにかく、親父さんの身の回りの奴ていうのが、信用のおけない連中ばかりで。病院にいる間は、誰とも接触しないようにしていたんだ。外との交信も遮断してな。そのおかげで、お前に心配かけてしまったな」
 清太郎は、
「もう信じられるのは、由美子、おまえだけだ。それに命を救ってくれた健次くんだ」
と落胆した表情で言った。
「お父さん、気を落とさないで。その通り、私たちがついている。これからどんなことでも頑張っていけるわ。そうだ、せっかくだから三人で食事に行きましょう」
 もうお昼だ。由美子は、久ぶりにお腹が空いていた。
「いや、それが、由美子。わしは、今から行かなければいけないところがある。そもそもそのことがあってクアランコクに来たんだ。クアランコク検察庁に呼ばれてな。今回の件の取り調べを受けることになったんだ」
「そう、そうなのね。そういうことになるはずよね」
 由美子は、驚かなかった。そして、これからの父のことを覚悟していた。

 検察庁までは、黒塗りの車で運ばれた。まるで護送車で運ばれるような気分だ。由美子と健次は、娘とその友人ということで同行を許された。
 クアランコク検察庁に着き、由美子と清太郎と健次は検察官に引き連れられ、建物の中へ入った。
 廊下を渡り、取り調べ室に向かう。取り調べ室に着くと、案内役の検察官が、由美子と健次を見て言った。
「ミスター・アケチのみが取り調べ室に入ることになります。長引くかもしれませんが、お二方は、隣の応接室でお待ちください」
 由美子は、検察官に分かったとうなずくと、父、清太郎のほうを見て言った。 
「お父さん、私や会社のことはどうでもいいわ。正直なことを言って。私は、お父さんがどうなろうと愛してる。娘として誇りに思う。だから、正直にすべてを話して。私は、犯罪者の娘になってもかまわない。嘘をつかず、自分の罪を素直に認められる立派な人を父親に持ちたいの」
 由美子は、目に涙を浮かべていた。清太郎は、じっと由美子を見つめる。
「アケチさん」
と思わぬ声が聞こえた。
 すると、そばにマラティール首相がいた。数人のボディガードに囲まれ、由美子たちを見つめ立っていた。
「マラティールさん、いや大統領」
と清太郎は、答えた。
 マラティール大統領は、そばに立っていた検察官に話しかけた。スワレシア語で会話を始めた。

 十分後、由美子たち三人とマラティール氏は応接室にいた。大統領は、清太郎の取り調べが始まる前に、少しだけでも話しが出来るよう取り計らってくれたのである。
「私は、いずれ国会での証人喚問も受けることになります。大統領選には出馬せず続投もしないつもりです」
 大統領は、清太郎に真剣な眼差しを向けながら話した。
「しかし、言っておきます。私は、何も知らなかったのです。ライが勝手にやったことなのです。こんなことを言えば、政治家お得意の言い逃れのようにしか聞こえませんが、事実、私は何も知らなかったのです。私は、むしろ裏切られたのです。その上、一番信頼していた男に殺されそうにさえなった。そして、もう一人友人であるあなたにまで裏切られた」
 清太郎は驚き、こう返した。
「マラティールさん、ここではっきりと事実を申し上げておきましょう。私は、あなたを裏切ってなどいない。あなたと同様、私も部下に裏切られたのです。私は何も知らなかったのです」
「お父さん!」
 由美子は、父の発言に驚いた。
「由美子も健次くんも聞いてくれ」
 清太郎は、由美子と健次をしっかりと見つめて言った。そして、マラティール氏の方にまた目を向け話し続けた。
「実際、私は今の事業を大きくするために過去に何度か不正をやってきました。しかし、今回は、そんなことをやってはいません。だが、社長として会社の者がやったことは、私が知り得なかったとはいえ、私の責任です。その責任を負うための裁きを受ける覚悟は出来ています。だが、決してあなたを裏切るつもりなどありませんでした。そのことは、分かってください」
「本当なのですか、明智さん」
「嘘など言っていません」
 清太郎は、真剣な表情だった。由美子は、その父の表情を読み取り、それが真実であることを確信した。父は、こんな状況で嘘をつく男ではないことを由美子は、長年の親子としての付き合いから一番よく知っていた。
「マラティールさん、私は、あなたの大統領の立場を考慮した上で、今、お頼みしたいことがあるのです。私の立場から頼むのは大変厚かましいことなのですが」
 清太郎の発言に、何を言い出すのかと皆、驚いた。
「今回の発電所建設計画、私の部下の犯した不正により、当然、我が社は、この事業から撤退せざる得ません。それは当然の報いです。しかし、この事業自体は、決して中止されることはないでしょう。東南アジア規模のダム建設は、あなたにとっては長年の夢だった。この国の産業発展のためには、なくてはならないものでしょう。しかし、そのために苦しむ人々がいるということも事実です。近くに住む農村の方々、そして、森の中に住む先住民の方々です。私は、今まで事業家として自分の企業の利益を増やしていくことばかり考えて生きていました。会社が大きくなればそれでいい。そのために住むところを追い出されたり、生活環境を悪くさせられる人々のことなど全く考えていませんでした。それを、今考えさせられているのです。驚くでしょうが、私はほんの十日前までは、末期癌で命を落とすところだった。ところが、あの森に住む人々が、与えてくれた薬草でこの通りあっという間に元の体に戻ることができたのです。死ぬ寸前の私の体を魔法のように治してくれたのです。あの森とそこに住む人たちがいなければ、私は死んでいたのです。それなのに、私は、そんな森とそこの人々を破滅に導かせることをしようとしていたのです」
「そんなバカな?」
 マラティールは、信じられないといわんばかりの表情だった。健次が、着ていたジャケットのポケットから草の入ったビニール袋を取り出して言った。
「大統領、信じてください。ここにその草があります。この草には、癌細胞を殺し、また癌細胞で弱った内臓の組織を修復させる成分が含まれています。それだけではありません。様々な解毒作用を持ち、コブラの毒さえも解毒できます。現に僕は、コブラに噛まれながらもこの薬草のおかげで助かりました。まだ、研究は始まったばかりです。その他どんな難病でも治せる可能性を秘めています。この草は、あの森に生えています。なくしてしまうと人類にとっての貴重な財産を失うことになります」
 清太郎が合わせるように続けた。
「お願いします。ダム建設計画のこと何とか考えていただけませんでしょうか。私は、そのためなら何でもいたします。また、明智物産で出来ることなら何でもいたします。お願いします」
 清太郎は、さっとひざまずき、土下座をした。
「明智さん、突然何をなさるんですか。私は、混乱しています」
 大統領の表情は、まさに青ざめ、心の混乱を表していた。由実子も、その父の姿に混乱した。そして、マラティール氏に向かって言った。
「大統領、娘の私からもお願いいたします。何も巨大なダムを作る必要はないのじゃないですか。発電なら、風力や太陽熱など自然を破壊しない手段もあります。そんな技術を提供出来ます。よく考えてください。熱帯雨林は、この国にとっても、地球にとっても、かけがえのない財産です」
 大統領は、顔をそっと背けた。清太郎は土下座したままだ。しばらく沈黙が続いた。大統領は、皆に背中を向け、窓の外をじっと眺める。急に沈黙が流れ陰鬱な雰囲気となった。由美子は、怒らせたのではと、不安になった。
 しばらくして、大統領は由美子たちの方を振り向いた。そして、話し始めた。 
「皆さん、私は、今、心に深い傷を負っています。死んだライとは、長年来の親友でした。イギリスの大学で政治学を学んでいた時からの付き合いでした。互いにこの国の未来について語り、植民地支配や戦争で、ごたごたになったこの国を建て直そうと二人で誓い合ったのです。二人で政治の世界に入り、同じ時期に国会議員にもなりました。そして、私が総理に彼が通産大臣になる程まで登りつめた、これからという時にです。彼が私利私欲のために収賄に手を染め、私を殺してまで大統領の座を手に入れようとしたのです。彼は、どうしてそんなにまで変わってしまったのでしょう。昔の彼は、そんな男ではなかった。私に原因があったのかもしれない。彼だって大統領になりたかったのです。私は、自分の方が、適役だと思っていました。私の方が見かけがよく、リーダーとしての強いイメージを国民に与えることが彼よりできると思いました。よかれと思ってしてきたことでしたが、知らず知らずのうちに彼に私に対する不信感を植え付けることになってしまった。私も気付かないうちに権威主義者に成り下がっていました。私も変わってしまった。私が若い頃、まだこの国がイギリスの植民地だった頃、イギリス人がゴム農園を切り開くため、熱帯の森を無残に切り壊していったのを見て、強い怒りを感じたことを覚えています。イギリス人は、自国の利益のため我々の国土を荒し回っていたのです。その時の怒りが、私を政治家への道に駆り立てたのです。そんな私が、今になって、この国の発展のためだからと、森を切り倒していくのは、とても滑稽な話しですよね」
 大統領は、床に膝まづいたままの明智清太郎を見下ろしながら言った。
「明智さん、お願いです。立ち上がってください。あなたのそんな格好を見たくありません」
 清太郎は、命令に従うかのように立ち上がった。大統領は話しを続けた。
「私が二十年近く前、日本で貿易の仕事をしていたとき、あなたには大変お世話になりました。発展する日本の産業を目の当たりにして、感動を受けた思い出で一杯です。そのころ私は、事業家のはしくれでして、日本には貿易をするかたわら、日本のビジネスについて学びに来ていたのですが、すでに帰国後に国会議員選挙に出馬する準備もしていました。日本の産業を見てスワレシア経済のモデルにすることを考えたのです。あの頃、あなたは「大の虫を生かすためには小の虫を殺す」という日本の格言を話してくれましたよね。これが資本主義経済のルール、国を発展させるためには常に犠牲が必要だと。日本は、あの時代高度成長による華やかな発展とともに国中に撒かれた公害問題が深刻化していました。あなたも産業界の人間としてそういうことに大きく関わっていました。だからこそ、そんな格言を使ったのでしょう。今の私もあなたと同じですよ。格言を持ち出して自分を正当化していました。でも、「大の虫を生かすためには小の虫を殺す」と言えば正反対に「一寸の虫にも五分の魂」という格言が日本にはありましたね。私はすべての国民のことを考えて、いままで行動してきたつもりでした。しかし、一人一人の国民のことを考えながら国全体を経済的に豊かにすることは、たやすいことではなかったのです。私は忘れていました。大の虫も小の虫も生きていける国にすることが真の政治家の使命であることを。今回のことで私は目を覚まされたような気がします」
「マラティールさん」
 清太郎は、ぽろぽろと目から涙を流していた。
 由美子と健次は、二人の老人の姿に圧倒されていた。不思議ともいえる雰囲気だった。この二人は、一国の大統領と大商社の社長という大きな肩書きを持つ貫祿ある堅物の老人たちだ。それが、お互いのことを包み隠さず語り合い、まるで若き青年時代に戻ったように、仮面を剥ぎ真の顔をさらけ出し、互いの姿を見せ合っているところなのだ。
 しばらく沈黙が続き、マラティール氏は言った。
「あれだけの大規模事業を中止させるのは、並大抵のことではないのです。私の大統領の権限を行使したところでも、もはややめさせることは出来ません。私個人の意見としましても、大規模なダムや発電所は、この国には必要です。どうしても必要だとしか思えません。しかし、もっと話し合う必要があることにも気付きました。果たして何が、なすべき正しいことなのか。そうですね。話し合う価値は十分にあります。多くの人を招いて話し合って見ましょう。どんな結論が出るか分かりませんが」

終わり

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それから、この小説は作者であるこのブログの管理者マサガタこと海形将志にあります。くれぐれも盗作は厳禁ですよ。出版予定でもあるのですから。紙での製本版入手に興味がおありであれば、筆者のメールアドレス、masagata1029アットマークy8.dion.ne.jp までご連絡下さい。
by masagata2004 | 2008-02-20 21:36 | 環境問題を考える | Trackback | Comments(0)

小説で地球環境問題を考える Part 23

 石田英明が逃走の末、高速道路から車ごと身投げし死亡してから数週間が経った。
 世間は、スキャンダル騒ぎで盛り上がっていた。スワレシアの通産大臣と日本の大商社が、賄賂で癒着していたこと。その通産大臣が、次期大統領の座をもくろもうと、現大統領の暗殺を企てていたこと。癒着に絡む、ダム建設などの公共事業は延期された。明智物産は、スワレシアと日本の検察庁による家宅捜索がとり行われた。

 由美子は、ホテルの一室で寝そべりながら、ハワイ大学で受けた環境学の講義を思い出していた。

 人間は、なぜ尊い自然を破壊するようになったのだろうか?
 かつて、人間は皆、森の中に住んでいた。人々は、森の恵みを一身に受け、森の動物を狩り植物を取り、暮らしていた。森には、食べられる動物や植物が溢れていたのだ。
 人類は、そもそも狩猟採集で生活を維持していた。狩猟採集だけで、すべてが済んだのだった。原始時代、地球の全人口は、二千万人程度だったと推定される。それだけの少ない人口に広大な大地と膨大な動植物資源に恵まれていたため、どんなに獲っても獲り過ぎるということはあり得なかった。
 人々は、自然を神のように崇拝していた。自然が、自分達にあらゆるものを提供してくれる。森の木々や動物たちと友情さえ分かち合っていた。だが、そんな生活にも変化が起こった。地球の寒冷化と人口の増加により、それまでの狩猟採集では、生活の維持が困難になってきたのである。
 そして、今から約一万年前、農耕革命が起こった。森の資源が少なくなった上に、多くの人間の生命を維持しなければならなくなったからだ。人々は叡智を絞り生き延びる方法を考えた。土地を平らにし、そこに種を植え、食物を育てる畑を作った。そのためには、森を切り開かなければならなくなった。森の木々は、邪魔者でしかならなくなった。生活形態も大きく変化した。これまで数十人ほどの部族単位で行動していた人々も、数百人以上に及ぶ集落を作り、農耕を行うことになったのである。狩猟採集生活では、部族は各地を点々と移動して行動を共にしていたが、農耕生活になると一つの集落が同じ土地の定住を余儀なくされた。一つ一つの集落に農耕の指揮を取るシャーマンと呼ばれるリーダーが出現する。生活には、数々の規則が設けられる。狩猟採集生活と違い、労働時間は格段に増えた。そのうえ、たくさんの労働力を必要とするため、大勢の人間を規則正しく使っていかなければならなくなったからだ。
 種を植え、田畑を刈ることばかりに精神を使い、快楽は悪とされ、勤勉な労働が美徳とされるようになった。自らの植えた種が実ることが、最大の幸福であり、限られた量の収穫物は、一人一人に分け与えられるため個人個人の取り分としての所有という概念が生まれた。狩猟採集の時代には、人々には、ものを所有するという概念が存在しなかったが、農耕革命から所有が始まったのである。もう一つ農耕革命は、新しい概念を作った。それは、人間が自然に対し常に挑戦し、優越した力を持ち、制していくことを生きる糧とする概念である。
 数百の集落は、拡大してゆき、数千、そして、数万という規模になり、いつしか一つの国家というものが築き上げられた。国家の中で、人民を統括する者は、王となり君臨した。人々は、その王のもとに仕え、暮らしていくこととなる。封建社会の始まりである。農耕社会から生まれた封建制度は、人間の間の身分の違いを生み、ある者は力を持ち他の者を支配し、ある者は、奴隷となり支配される立場となった。
 そんな封建社会が長きに渡り続いた後、十八世紀後半、ヨーロッパで産業革命が起こった。それは、これまでの封建制度によって低い身分におかれた庶民、特に商人を中心とした人々が力を持ち起こしたものだ。これまでの農耕生活と違い、食料だけでなく、それ以外の様々な品々を作るようになり、人々の生活は飛躍的に豊かになっていった。
 人間の知恵を結集して、次から次へと新しいものが生まれた。遠く離れたところでも自由に行き来できる蒸気機関車や、少ない人員で多くの繊維などの製品を作り出せる機械化された工場、自然を超越した神のなせる業を人間は手に入れた。人間の価値観は、物の豊かさへと移った。商人達は、効率よくたくさん売れるものを作ろうとする概念を持つようになった。資本主義の始まりである。多くの物を持つこと、また、それらの物の交換手段となる金も多く持つことが美徳とされた。多くの物や金を持てることは、権威を持つことにもなるのだ。人々は、競って金と権力を求めるようになった。
 より多くの物を低いコストで効率よく生産する。これは現代まで続く資本主義の必要概念である。企業は、利益重視で動く。利益を上げるためなら、環境破壊もいとわない。環境が、破壊されようとも企業の利益が上がるならば、それは善とみなされる。いわゆる公害が、その企業の考え方によって始った。
 二十世紀前半までは、その公害は、ある一地域までに限られていたことだった。それが、最近では、地球全域にまで広がる規模となった。企業は、利益利益と開発に走る。その企業に経済を頼る国家や人民は、それを支援する。国家は、経済成長のため企業の開発を支援するのだ。各々の国家は、国民生活を豊かにするためと、また、他国からの干渉を恐れ、自国の主権維持のために経済力の増強を図る。それが世界各国の目標となった。
 だが、一見ものが溢れ収入も増え、生活が豊かになっていく反面、身近にあった自然環境はどんどんと変わっていく。木々などの緑が失われていくばかりじゃない。ごく普通の生活さえままならなくなる変化が襲ってくる。地球の温暖化により北極・南極の氷が溶け海面が上昇しより広い陸地が水に埋まってしまう。フロンガスの放出によるオゾン層の破壊により、日光に含まれる有害な物質、紫外線が人間の眼や皮膚を直撃する。そうなると、うかうか外には出られなくなる。
 そんな破壊された環境の中で生活することが、人間にとって果たして豊かな生活といえるのだろうか。悪化する生活環境の対策に追われ、通常の経済活動もままならなくなる。企業や国家は目先の利益を追い過ぎるのだ。実際に恐怖の時は迫っている。二酸化炭素の増加による地球の温度上昇は毎年観測されている。オゾン層の破壊により、地理的にもっとも影響を受ける極地地方では、皮膚癌の発生が深刻な社会問題となっている。二十一世紀中に人類は、滅亡してしまうかもしれないという観測がある程だ。
 人間は、今まで自然を自分達の手で支配できるものと考えていた。自然を軽んじ、自然を自らの利益のため破壊尽くしてきた。だが、そのようなことをすれば、おのずとしっぺ返しが来ることを忘れている。自然の力は壮大なものであるが、仮にも、破壊し尽くせば人間に与える影響力も壮大である。自然が、人間の生活を支えているのである。自然を侵せば、それに支えられてきた人間の生活も侵すことになろう。
 人間は、長いあいだ、大事なことを忘れていた。人間も自然の一部であること。他の自然と共生していかなければ、けっして生きていけないことを。今、人類は大きなターニング・ポイント(転換点)に来ている。自然を破壊し、自らも破壊するか。自然と共生し、自らを生かすか。

 由美子は、これまで自分の身の回りで起きたことを、一つ一つ振り返った。大学を卒業し、日本に帰省したつもりのものが、東南アジアのスワレシアに飛ぶこととなった。そこで、自分の父親の会社が熱帯雨林を破壊してダム建設をするという事実を知った。それに反対するため様々な行動に出たが、すべてが逆目に出てしまう結果となる。あまりにも、自分が世間知らずだったことを思い知らされたのだ。
 一口に環境保護だと言っても、様々な事情が絡んでくる。国家、企業、政治、経済、また一般市民の生活も絡む複雑な事情だ。大学時代、そのことは、講義でさんざん習ってきたつもりであったが、実のところ、今回の体験を通して身を持って知った。


 ピンポーンとドアのインターホンが鳴った。ベッドから起きあがり、ドアを開けた。すると、そこには、意外な訪問者たちが立っていた。

Last Partへつづく。
by masagata2004 | 2008-02-19 11:00 | 環境問題を考える | Trackback | Comments(0)

真相は、情けない国会議員たち、であった!

昨日、こんな記事を書いた。都が国と妥協して、貴重な緑地を伐採して新清水谷参院宿舎を建てることにしたと。今朝、テレ朝のスーパーモーニングでは、その続報があり衝撃を受けた。

実を言うと、その報道は間違いで、都は、建設を妥協合意などしてなかったと。石原都知事も猪野瀬副知事も、報道内容を否定、猪野瀬氏曰く、これは建設を推進したがる輩の意図的なリークだったのではないかと。

そもそも、多くの国会議員が宿舎など必要としていないのにかかわらず、計画に反対しないのは、事務局方からの圧力がありできないのだと。おや、変だと思うだろうが、つまりは国会議員は本来使うべき相手である官僚から、使われていると言うことになるのだ。つまりは宿舎を建てる土建屋と結託した官僚が、どうしても計画を中止にしたくないということか。

これで見えてきたことは、日本の政治は官僚に徹底的に握られており、議員は、自ら居住する宿舎に関しても、何ら異議を申し立てられないのだ。

つまり、官僚の決定は国会の決定。だからこそ、変な公共事業の無駄遣いがまかり通る。原発も豆腐の上に建ち、廃棄物バンバンの六ヶ所も稼働を止められない。欠陥を残したまま、稼働試験を続行させる。

そういえば、民主党の長妻議員が、国会議員会館で国会議員が官僚たちに選挙でお世話になりましたと頭を下げる光景をよく見たと話していたことを思い出す。

日本の政治改革には、まずそこから手をつけないといけないということなのだ。
でもって、議員宿舎の問題で分かるように、これは根が深い。

ちなみにこの宿舎建設は、条例で高さ制限をたてに都は「待った」をかけられるが、建設そのものを白紙にすることはできない。本来なら、今こそ国会で議論して計画を中断すべきことなのだ。それができるかできないかが、国会議員の存在意義を左右する。

ああ、情けない。

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by masagata2004 | 2008-02-18 21:13 | 時事トピック | Trackback | Comments(0)

新しい携帯


時代の進歩とはすごいものです。ちなみにこの映像は、今まで使っていた携帯から撮りました。
by masagata2004 | 2008-02-17 23:27 | ライフ・スタイル | Trackback | Comments(0)

結局のところ、議員も都知事もへったくれ!

Excite エキサイト : 政治ニュース

参議院の議員宿舎を建てるために貴重な緑地を伐採!?

だいたいさ、国会議員が数十人も一カ所に集まって住んでいたりしたら危ないじゃない。
もし、自爆テロが宿舎ビルに突っ込んだら、それで一度に数十人も最高決定を行う議員がいなくなる。まあ、いてもいなくてもいいような連中ばかりかも知れないけど。

分散して居住する方が安全保障上いいのは誰でも分かる理屈。それに東京は緑が少ない。ヒートアイランド現象を軽減する意味でも重要だ。

国会議員の連中も首都の環境をよく考えろと言うんだ。いったい、何を意地張っているのやら。

まあ、議員たちの気持ちも分からなくない面もある。日本の国会議員は、けっしていい待遇を受けているとはいいがたい。歳費の額も、秘書を雇ったり、選挙運動をするためには少な過ぎる。奉仕としてやるのだとすると、金持ちの子か、共産党員ぐらいしか国会議員にはなれなくなる。ならば、歳費をどっと増やして、それで各議員が豪華なところに警備をつけて住めばいいと考えるのだが、そんな風なことを提案すると、「あんたらだけいい思いをして」といちゃもんをつける左翼や政治の仕組みのよく分からない庶民の餌食となってしまう。

それに、結局、妥協した石原都知事。まあ、強がりもそんなにもたない。平気で妥協する。というか、この人、自己顕示欲最優先で、真に公共性とか考える真面目なタイプではないんじゃない。最後の任期だし、少しはそういうことに命をかけてみる心意気はないのかね。老害で終わりますか。もっとも、築地壊して、食品卸売り市場を汚染地帯に移そうという計画の立案者だし、最初から期待したのが間違っているよね。

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by masagata2004 | 2008-02-16 20:26 | 時事トピック | Trackback | Comments(0)

ラスト・コーション ボカシはいただけない

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やっぱりか、と思った通りボカシ入りのセックスシーン。別にそんなのネットでいくらでも見られるからどうってことないが、作品に傷を与えているようで残念だった。それから、これは映倫に対する文句じゃないが、歌うシーンは要らないと思った。吹き替え、ばればれ。

ところで映画のストーリーだが上海が日本に占領されていた時代に傀儡側の中国人男の愛人となりスパイ活動をした女の運命を描く。ブロックバックマウンテンのアン・リー監督らしい心情描写の優れた作品である。それだけにボカシは残念。

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by masagata2004 | 2008-02-16 16:24 | 映画ドラマ評論 | Trackback(1) | Comments(0)

六カ所核再処理施設、稼働反対!

Excite エキサイト : 社会ニュース

6カ所関連で市民ネットメディアJANJANにこんな記事を投稿しました。以下に、多少、文句や写真・動画を加えて転載します。

六ヶ所核再処理施設・反対集会&デモに参加して

2008年1月27日
寒かったが、澄んだ空でとても天気のいい日だった。日比谷公園は、いつにもまして穏やかで美しかった。噴水のしぶきから虹が見えたほどである。
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 しかし、もし、そんな美しい公園が放射能で汚染され危険地帯になったらと想像してみたらどうだろうか。

 日比谷公園の野外音楽堂の大・小2つを借り切って、青森県六ヶ所村にある核廃棄物再処理施設の本格稼働を止めるため反対集会が1月27日開かれ、その後に公園から、銀座のど真ん中までのデモ行進を行った。
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 反対集会では、歌手の「さんプラザ中野くん」さんが有名な爆風スランプ「RUNNER」を歌い、再処理施設反対の熱い想いを露わにした。こちらの記事にその動画あり。

 デモ行進の前には、六ヶ所村に近い三陸海岸の漁協の人々、サーファーの方たちが一同に集まり、団結力を見せつけた。
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その後、みんなでデモ行進に。参加者数は2千人ほど。以下は、その模様を収めた動画です。
3分半にまとめました。日比谷公園から銀座数寄屋橋交差点まで。

 街を歩きながら、デモ隊を撮影しながら思った。はたして、こうもエネルギーを原発に依存していいものだろうか。それも、核廃棄物を再処理しなければならないほど。

 確かに資源の乏しい上、工業で経済が成り立っている日本にとっては、安定なエネルギー源の確保は切実な問題だ。石油だけでは、政情が不安定な中東に依存してしまって問題だ。それに石油は40年内に枯渇すると言われている。最近の価格高騰は、その情勢を反映したものだが、ウランとて日本では採掘できない輸入物で、チェルノブイリのあったウクライナのように自国で採掘できるわけでもない。その上、60年内に、これも枯渇すると言われている。

 鉱物資源は、いずれなくなる。石油とウランは今世紀中に地球で採れなくなるといわれているのだ。

 せっかく輸入したウランを有効利用しようと再処理を考えているようだが、技術が確立しておらず何度も延期されているようなおぼつかない状態で、排水には放射能が含まれ、それは周囲の海産物や農産物を汚染させる。食料自給率が4割を切った日本にとっては、そんなリスクを負う価値があるのか疑問だ。

 その上、柏崎刈羽で見せつけられたように地震も多い国だ。事故だけでなく、地震という自然災害に対する防御も必要で、今ある原発は老巧化が進み、維持管理にはコストがかかるばかりだ。

 だからといって、代替エネルギーが現在、量的に確立しているわけではないので、しばらくは使えるものは稼働し続けるしかないだろう。しかし、いずれは方向転換しなければならない。なのに現在の日本の政策は「原発推進」である。風力や太陽熱のような再生可能エネルギーの割合を上げる目標値も1.6%という低さ。こういうのを開発しようとなぜ意欲を見せないのか。

 これには、既存の電力利権の抵抗があり、政策を変えられないという話を聞く。電力会社の影響力が強い与党とその労組の影響力の強い野党とあっては、政治家が及び腰になるのも無理はない。

 そうなったら、方法は、我々市民一人一人が声を上げ、出来るだけ多くの人々に現状の厳しさを伝え、市民の力で、政治を動かし、新しい未来に向けた政策転換をさせていくしかないだろう。

 イギリスの政治哲学者、エドムンド・バークのこんな言葉を思い出す。「悪がはびこる唯一の要因は、善人がなにもしないことだ」と。

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by masagata2004 | 2008-02-14 20:58 | 環境問題を考える | Trackback(1) | Comments(0)


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