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ドキュメンタリー「老人と海」 私を沖縄に連れてって

先日、沖縄の漁師さんと話しをして、この映画を勧められ観に行った。題名はいわずと知れたヘミングウェイの名作「老人と海」から取ったものであるが、舞台はカリブ海ではなく、沖縄は最南端の与那国島。

この映画は20年前に公開されたもので、今回は、それのディレクターズカット版。監督は、ジャン・ユンカーマンだ。

82歳(当時)の与那国島の漁師とその妻、島の人々の漁と、日々の営みを淡々と映像に映し出したものであった。漁師が、小舟に乗り、糸を使ってカジキを捕り、それを銛で打って殺し、船底にくくりつけ、漁港に運ぶ作業は迫力があった。

また、漁村の祭りの光景。ハーリーと呼ばれるボートに複数の男たちが乗り込みオウルを漕いで海を渡る情景。沖縄最南端でありながら、日の丸の国旗をなびかせ、日の丸をデザインしたはっぴを身につけている。

うーん、最近の辺野古騒動を思うと、考えさせられてしまう。本土のヤマトンチュウが、沖縄人から、主権とか国防とかを教えられているのではないかと。そもそも、自分の国は自分で守るべきだろう。そんなことができていないから、あんな無様な合意を強いられているのではないか。沖縄の人々が猛反対してくれていることに我々、日本国民は感謝すべきだろう。実際、普天埋設問題に詳しい沖縄タイムズの屋良記者は、6月、私が9条改正について提案をした時、「最終的にはそうすべきだが、日本の国情を考えるとむずかしいだろう」と答えた。

考えてみれば、沖縄が大変な思いをしているのは、左翼の人々が、相も変わらず教条的な平和主義を掲げて国防を他国に依存せざる得ない状況にしているからだろう。

とまあ、政治的な話しになったが、この映画の最後のシーンでは、老人の漁師が、三味線を聞きながら、着物を着て踊るところが映され「思わず楽しいので踊ってしまった」と言った。何とも粋な感じがした。

ところで、なぜ、私がこの映画を観たのか。このブログのタイトルも変わったのか。

その理由を
by masagata2004 | 2010-08-01 18:15 | 映画ドラマ評論 | Trackback | Comments(0)

映画「桃色ジャンヌ・ダルク」 なぜか影響を受けた人

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渋谷ユーロスペースにて観賞。

内容は、増山麗奈という破天荒な女流画家が、イラク戦争以来政治に目覚め、政治運動とアートを合体させた活動を繰り広げるという生き様を描いたドキュメンタリー。

冒頭に、このドキュメンタリーの監督が挨拶に登場。3年間、彼女を追い、記録した100時間以上に及ぶ映像を1時間40分にまとめ上げたものだという。

この人のことは、実をいうと私もイラク戦争反対デモに参加して知った。単なるパフォーマーと思っていたが、それなりに信念を持って活動をしているということを彼女のブログ「増山麗奈の革命鍋」を読んで感じるようになり、次第に影響を受けるようになった。ちなみに2児の母で、夫はフリージャーナリストの志葉玲である。

アートを使い反戦運動、反原発運動をする姿、同時に父親の違う2児の母親でもある。こんな存在も世の中にはあるんだと感心する。保守的で不寛容な日本社会で、よくも生きているな、年とっても続くのかな、と思いながらも、そんな自由な生き方に憧れを持つ。

私には、そんな生き方は出来ないと思いながらも、彼女に影響を受け、余暇を利用して、ちょっくら活動をまねしたことがある。例えば、以下のような反原発ボディペイントをして銀座をデモで練り歩いた体験。
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実をいうと、こんなボディペイントをして褌で歩くつもりだったが、褌は警察に認められなかった。
家に帰ったら、彼女のようにエロスを楽しむつもりで、ペイント剥がし。


つい最近は、話題となっている普天間基地の移設先候補となっている辺野古に行くため、沖縄に飛び、反米軍基地運動を自分なりにした。この映像を参考に。

抗議の印として、麗奈さんがパンティをアートとして飾るように、私は前日使って洗っていない褌をその場に残した。

ちなみに、先月も沖縄を行ってきた。その時の映像と記事は以下に。


【オムニバス】沖縄から最後の記事を送る

麗奈さんにも見て貰い、沖縄に行って、お得意のピンク・パフォーマンスを繰り広げて欲しい。米兵、喜ぶぞ。

もっとも、そんなことのできる余裕など私にはもうない。最近は、麗奈さんの嫌う資本主義どっぷりの仕事についている。何たって社訓に「利益を上げろ」と掲げられているところだもんな。

だけど、決めている。この仕事をやめたら、次は、今度こそフリーか自営の仕事をしようと、それも自分が真に幸せを感じられるようなもの。自然豊かな沖縄に引っ越すのもいいな。芸術家か、人間の生きる原点を見つめる意味で、また、自給率向上を目指す意味で、漁師になろうかなっと考えていたりする。
by masagata2004 | 2010-04-13 23:04 | ライフ・スタイル | Trackback | Comments(0)

「防衛医大の場合は」 著者は軍事オンブズマンになるべき

防衛医大のとんでもない医師のとんでもない医療過誤、というか人体実験により将来を潰された一人の青年の壮絶なまでの記録。裁判の仕組みや方法論なり、実にためになる書なので必読。

20年ほど前、防衛医大で痣の治療のため、強引に手術を受けさせられ、同症例では前例のない方法での手術を非人格で技術的に未熟な医師により執り行わされ、結果、障害が残り、音楽家としての道を諦めざる得なくなった著者のこれまでの経緯を綴ったもの。裁判には、見事に勝訴。医療訴訟では、勝率は4割程度であることを考えると、凄腕であったことがいえるが、同時にこの事例が誰の目からみても余りにもひどいものであることの証であることを物語っている。

この本では、731部隊の伝統を引き継ぐ自衛隊の体質及び司法も独立権がなかなか保証されない「お上に逆らうな」という明治以来の国家至上主義がテーマになっている。一審で勝訴しても、最高裁までいくと国側が勝訴になるシステム。裁判官は官僚化しており、時に信念を持って国に不利な判決を下すと左遷されたりする。

日本は民主主義の国なのにとなぜ?と言いたくなるが、似たような事例は海外でも数多くある。特に軍が関連する事例に関してはそうだ。湾岸戦争の劣化ウラン弾の影響で体調不良になった兵士の妻が、軍の病院のカルテを盗み、メディアに公表。すると、夫婦は同じ仲間から爪弾きにあってしまうという実話を元にした映画を以前みたことがある。イラク帰還兵でも同じことが起こっているだろう。

この著者は、その後、防衛庁の情報公開制度で、請求者の個人情報リストをこっそり作っていたスキャンダルで有名になったとのこと。著者も請求者として監視されていたらしい。そこにも、防衛庁と官僚のいかがわしい体質が浮き彫りにされた。

民主主義は完璧ではない。権力側は、どんなことをしてでも、自分たちが上に立ち民衆を操りたがるものだ。民衆のためを思いするはずの権力の行使が、いつのまにか、自らの権力を守るために使われる。手段が目的化していくのだ。特にこれまで政権交代のなかった日本では、官の中立性が低く、その結果、官を中心として国会と司法が、下部組織に成り下がっている。ようやくの政権交代で、それがどれだけ変わるかがみものだ。

ところで、この本を読むと、著者が対決した防衛庁(現在は防衛省)の幹部であった田母神氏を思い出す。というのは、この本を読むと自衛隊はけしからん、憲法9条改正はあってはならないという結論に終わりそうだが、私はそうならない。

国家権力は腐敗する、だから、安易に信用してはならない。それはその通りだ。しかし、だからといって、国家という機能をなくしてしまえばいいというものではない。その一部である防衛機能もそうだ。それならば、「自衛隊」という曖昧な形にせず、防衛軍として認め、そのうえで市民の力できっちりと監視するという体制を築くべきだと思う。

鳩山次期首相は9条改正派だ。善い悪いは別にして、いずれ近い内に改正されるだろう。その時に大事なのは、権力に安易に迎合せず、監視の目を光らせ正していける勢力が国民にどれだけいるかということだ。著者には、この壮絶な苦悩の体験を活かし、将来的には軍事オンブズマンたる存在になって欲しいと思う。

ただ、著者だけでなく、著者の体験から学び触発され、より多くの市民が、参加意識を持ち、国家権力という「必要悪」に立ち向かっていけるようにならなければいけないのだと思う。

実際、世の中は理不尽なことばかりである。強大な権力とぶつかり合うと、それは壮絶なものだ。
著書にもあった「試されない人生は生きる価値がない」と、その通りだ。優雅でまったりとした平穏な日々は、ひたすら無駄に過ぎてしまう。著者は、ある意味、他の人が体験できない有意義な体験をしてしまったのだと思う。

ところで、余計なお節介だが、この著書には、数カ所誤植があった。
P.95 最後の行「て逆に衛医大は」 は、「て逆に防衛医大は」ではないのか。
P.175 これも最後の行で「肩が悪いと思いものを持てません。」「肩が悪いと重いものを持てません。」では。

ところで、彼は一体何をして生計を立てているのだろうか。この本がベストセラーになって十分暮らしていっているのだろうか。私も、作家になりたい。私の場合は小説だが、どんな小説を書いているかは、タグの「ノベルズ」から拾って読んで貰うと有り難い。
by masagata2004 | 2009-09-08 19:29 | 書籍評論 | Trackback(1) | Comments(4)

映画「女工哀歌」 現代版「野麦峠」

このドキュメンタリー映画を観ると、いかに中国がやばく、そんな中国に経済を頼る現代のグローバル経済が危ういかが分かる。

制作スタッフは検閲の厳しい中国で、逮捕やテープの没収などを経験しながらも集めた映像を元に、アメリカなどで売られるジーンズを製造している工場の人々の生の生活をレポートした。

そのすさまじいこと。中学生程度の女の子が、田舎から出稼ぎに、1日20時間も、深夜まで働かされる。それでも、給料の支払いが遅れることもあるが、ストは法律で禁じられている。貰う給料も、寮の宿泊代や食費をさっ引かれ、ちょっとした違反行為で罰金も取られる。こき使われた割には、大して残っていない。

工場の経営者も大変。外国の顧客からは厳しいノルマを課せられ、商品売上の大半は儲けとしてごっそり持っていくようにするため、経費は極力抑えられる。何と、女工16人分の2時間の賃金が合計で2ドルにも満たない。

経営者は、我々はリスクばかり負わされ、儲けは減らされると不満を漏らし、そのツケを女工たちにしょわせる。工員たちは、「まるで物乞いみたいだ。経営者の気分で賃金が決まる」とさらなる不満を漏らす。日本では明治時代の野麦峠、現代の山谷や、派遣労働者と同じ待遇が横行している。ちなみに中国でも、こんな扱いは違法。労働監督局に訴えたくても、何と工場長は警察とつながっているからアウト。ひょえー!

中国の発展は、そんな異常なまでの搾取の上に成り立っており、その搾取できる賃金の安さが外資の魅力。でもって、中国の富は、そんな中間搾取業者が築いたもの。

アメリカなんて偽善者だ。ジーンズは、アメリカの大手小売店で売られ、消費者は安く買え満足する。経営者は、ほくほく。売上の大半は利潤になっているから。そんなアメリカ人が、中国の天安門やチベットなどの人権問題を採り上げ非難する。過去の侵略の贖罪意識と金儲けのため、そのへん遠慮気味の日本人の方がまだましだと思える。

映画を観て女工たちの悲しき運命に涙すると共に、こんな搾取の状態で成り立っている中国経済にどれだけ期待できるのだろうかと疑問を抱く。最近の毒餃子などの事件は、こんな搾取状態に対するひずみが原因ではなかろうか。

こんな状態が続けば、女工たちを含め労働者は働かなくなる。賃金も上昇させざる得ない。そうなるとコスト競争力が落ちる。そうすれば外資は逃げ出す。ただでさえ金融危機で痛手を受けているのだから、ますます引く。ならばコストをもっと下げようと、安価な有害物質を使う羽目になる。それでさらに評判を落とす。

もう世界は見放さざる得ないだろう。失業の増大、政治の腐敗などにもまれ、人民による不満が爆発し、中国は危険な状態に陥るかもしれない。経済規模が日本を抜かそうとも、腐敗した独裁体制下に不満分子だらけの人民の集団。残念ながら先が知れている。

女工たちの哀しき運命と共に、迫り来るチャイナ・リスクを感じさせるドキュメンタリーだった。

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by masagata2004 | 2009-07-06 00:55 | 中国 | Trackback | Comments(1)

歴史ドキュメンタリー映画「南京」 野蛮で恐ろしか日本人

Excite エキサイト : 中国ニュース

日曜日に映画館ではないが、200人ほどの人が集まった集会で歴史ドキュメンタリー映画「南京」を見た。南京と聞けば多くの人が想像する、そして、保守派が騒ぎ出す、まさに「南京大虐殺」をドキュメントした1時間半の映画だ。

どんな集会だったかはこの記事を読んで知っていただきたい。

これはアメリカ映画で、西洋人と中国人の立場からドキュメントした内容。だから、日本人が見るにはちと、心の準備が必要かも。ドキュメンタリーだが、形式はハリウッドらしくユニーク。



俳優が、当時南京にいた西洋人、中国人、日本兵になりかわり、スタジオで体験を回想して語るもの。内容は、実在した人々の手記からの引用なので、事実を語っている。また、それ以外に、年老いた人々が70年前を思い出し、自身の被害体験や目撃体験を語る場面もある。でもって、被害者だけでなく、加害者の兵士が語る場面もある。おそらく、2002年にニュースステーションで報道されたものをぼかしなしで使った映像だ。

中心となるのは、アメリカ人の女性宣教師、ミニー・ボートリンで、これは作家ヘミングウェイの孫に当たるマリエル・ヘミングウェイが演じている。女子大で、必死に女性をさらおうとする日本兵を門でブロックして守った行為が称えられている。

南京では報告されただけでも2万件のレイプがあったといわれる。被害にあったのは女性だけでなく、男性もレイプの被害にあっている。

意外なエピソードも紹介されていた。日本兵がレイプする代わりに売春婦を連れ出したいと、避難所に入ってきた時、ボートリン女史はそんな人は一人もいませんと追い返そうとしたが、何人か売春婦がその場にいて、日本兵についていったというので驚きだったという。

南京占領後の軍のメディアの利用の仕方が説明され、歓迎され子供と兵士が団欒している場面は撮させながら、死体の山はいっさい撮らせないなどの規制をしいたと。これは、イラクでも同じことが起こった。ハリウッドだからこそ、着目したのか。

さてさて、これは、ある種のプロパガンダ的な要素があり、右翼でない私も、引いた場面が最後のシーンに見受けられた。靖国神社で日の丸を振りながら万歳をする日本人の姿で、南京で万歳をする日本兵と重ね合わせ、日本人は何も変わっていないという印象を受けさせる。

だが、これは一部の人がやっている行為で、全体を代表しているわけではない。ほとんどの日本人は、歴史に無関心で右でも左でもない。ま、これも仕方ないか、総理大臣が毎年参拝していた時期があったのだし。

この映画を観終わった後、私は不思議な感覚を受けた。異常な迄に自国に親近感を持ったことだ。ある1シーンが、とても印象に残った。死屍とする大地を背景に山に登って太陽に向かって騎馬兵が剣をかざし、敬礼をするところだ。太陽は天皇を表すものだったらしいが、古来からの太陽信仰に由来する儀式ともいえる。

そうか、私と彼らは同じ民族としてつながっているんだ。善いも悪いも受け入れて日本人として生きていかなければ。

いっておくけど、私は日本人であることを心より誇りに思っているよ。

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by masagata2004 | 2008-12-18 22:27 | 映画ドラマ評論 | Trackback | Comments(2)

映画「誰が電気自動車を殺したのか」 日本の勝ちか!?

DVDでアメリカのドキュメンタリーをレンタルした。こんな記事を書いて独自の運動をしているのだが、この運動は相変わらず続けている。だが、DVDや映画、ドラマなど芸術系または情報系は除外しようと思う。

というわけで、今日借りてみたのが、「誰が電気自動車を殺したのか」というタイトルのドキュメンタリー、本来、市場性も高く環境の負荷も小さいはずの電気自動車が、なぜこれまで普及しなかったのかを問いつめたドキュメンタリー。

理由としては、ガソリンを売る石油業界からの圧力、市場性を軽く見ていた自動車会社、でもって、その市場性の低さの要因は消費者の大型車やレジャー重視志向に起因すると。

だが、最近、トヨタのプリウスの大ヒットで、電気自動車、特にハイブリット型は大注目を浴びている。というのも、電気自動車の問題点は充電に時間がかかり、その上、走行距離がガソリン車に比べ短いこと。通勤にはいいけど、レジャーを楽しみたいとか、充電を忘れてしまった時を考えるとガソリンがいいに決まっている。

トヨタのプリウスは、最新型でプラグイン機能を備えている。最初の走行100キロの燃費は1リットル当たり70キロというのだから驚異的。

ドキュメンタリーは、GMのEV1という96年に発表されリースされた電気自動車を紹介したが、最後の方では、トヨタのプリウスを理想的な自動車として紹介していた。ちなみにGMは破産寸前の状態。公的資金の援助も断られそうだ。でもって、トヨタも最近の景気後退を受けておもわしくない先行きだが、プリウスつくったのはご立派な業績。

アメリカのドキュメンタリーでお褒めいただくとは実に誇らしい。だけどな、トヨタは派遣の使い捨て労働が問題だし、でもって、開発者かなり過労死させているらしいよね。スポンサー力を使って言論をコントロール。

しかしまあ、そうはいっても、明日、横須賀にのこのこやってくる原子力空母ほど、腹の立つものはない。こんなもの開発する金と技術力があったらなら、なんで電気自動車を普及させなかったんだ。空母使って戦争してガソリンの価格上げてますます自動車産業含め経済を駄目にさせたんじゃないのか。

結果、アメリカは経済破綻を起こして奈落の底に向かっている。世界も巻き込んでね。

日本は生き延びたいが、首都で大地震が起こって空母の原子炉がメルトダウン起こしたらどうなることやら。

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by masagata2004 | 2008-11-20 23:22 | 映画ドラマ評論 | Trackback | Comments(0)

映画「靖国」 右傾化する日本への警告

レンタルDVDで、話題騒然となったドキュメンタリー映画「靖国」を見た。ご存知、文化庁が助成金を出して制作された靖国神社を主に舞台とし、様々な人々の人間模様を淡々と描き出したドキュメンタリー。中国人が監督を務め、香港の映画祭でグランプリを取った作品だったが、右派の国会議員から抗議が出て、その後、上映予定の映画館が上映をとりやめるなど騒動あったが、それに対して異議を唱える人々が立ち上がったため、かえって当初予定より多くのところで上映がされるようになってしまった曰く付き。

そして、今回のようなDVDでのレンタル・リリース。見らずにいられようか。マイケル・ムーアのドキュメンタリーよりも、わくわくして見た。結果、感想は、圧倒された。
というのも、評論家の間では、ドキュメンタリーとしては秀作ではない、政治家が異議を唱えるほど偏っていないと聞かされていたので期待はしていなかったが、私の印象は全く違い、なかなかの秀作、ぐっと胸に突き刺さるような衝撃も感じた。でもって、右翼の人々が嫌がるのも無理はないと思った。

特に印象に残ったのは、靖国神社で儀式で、妨害をしてまで靖国批判をした青年。その場で差し止められ暴行を受け、中年の親父に「中国へ帰れ」とどやされる。が、ここに面白い落ちがあった。その口が血まみれとなった抗議青年は日本人だったのだ。そして、彼は「日本がどれだけ多くのアジア人を殺したと思っているのですか」と叫び続けられながら、パトカーに乗せられる。

このシーンが、中国で上映されたのは意味があったと思う。日本人でも、靖国に強く憤りを感じている人々がいるということが知らされたからだ。私も反対派。だが、靖国神社についてよく知ったのは、小泉首相の参拝からだ。日本人の多くは、よく分からないか、関心がないというのが本音だろう。だから、賛成派と反対派が世論調査では拮抗する。

私にとって、靖国は、偶然にも親しみを強く感じる場所なので考えさせられた。私の靖国にまつわるエピソードと意見については、市民ネットメディアJANJANの記事を読んでいただきたい。

また、この映画を制作した監督の中国人としての視点、南京虐殺などに関わる日本により負わされた被害の記憶と重なり合う心情も映し出され印象に残った。この南京虐殺に関しては、私が過去に投稿した同じくJANJANの記事を以下にリンクするので参考いただきたい。

南京大虐殺から70年 被害者証言集会の参加報告

これが「平和」資料館のすることなのか?

南京大虐殺の生存者が問いかけるもの

国を想うなら学ぼう、自虐的な?歴史! 南京大虐殺について

ちなみに、以上の記事で紹介した虐殺生存者の証言会において通訳をしていた男性は、映画「靖国」でも、ちょろっと出演していた。同じく通訳で、靖国神社に合祀された台湾人の合祀を削除するように要請しに来た台湾の国会議員の女性の通訳として同行した男性である。大阪弁ですごい言葉を使って神社の方々につめよっていた。

靖国を通して日本という国がどのように成り立ってきたのか、日本人が何を考えてきたのかが、こむずかしくない調子で理解できる。中国人が制作したためなのだろう。てなわけで、これはお薦めのドキュメンタリー、機会があればぜひご覧いただきたい。

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by masagata2004 | 2008-10-04 23:58 | 映画ドラマ評論 | Trackback(1) | Comments(1)

安田純平氏と映画「アメリカ ばんざい」

本日、ポレポレ東中野で映画「アメリカ ばんざい」を見に行った。

どうして見に行きたかったかというと、上映前のトーク・ショーに尊敬するジャーナリスト安田純平氏が出る予定だったからだ。

上映前の20分ほど、映画の監督とのトークで昨年から今年にかけて民間の軍事請負会社の元、米軍基地で働いた自らの体験を語った。アフリカやアジアからたくさんの出稼ぎ労働者が来ていて、一月で彼らの年収をゆうに上回る報酬を稼ぎ出すので彼らの間ではとてもおいしい仕事だと話した。米兵の給与よりも、実をいうといいものだとも。日本人の自分は、あり得ないからスパイでないかと疑われたと。「自己責任」バッシングにめげず、何度もイラク入りをして真実を探ろうとするジョーナリスト魂を感じた。

安田氏の話に対応して、映画監督は、アメリカでは、最近、格差が広がるばかりで、その格差増大が貧困層を戦場に動員させる要因となっていると話す。

映画では、その貧困層を否応なく軍隊に入隊させる仕組み、Poverty Draftがテーマとなっていた。訳して貧民皆兵制だ。

日本人女性と横須賀で出会い結婚した元米兵の男性が、アフガニスタンで知った戦争の過酷な現実から逃れるためイラク行きを拒否し、刑務所に数ヶ月入れられ除隊する。その後、若者たちに軍隊のうその勧誘に乗せられるなと注意をして回る。

戦場で被爆を受けたことを何も知らされず、帰国後、重病に苦しむ人々。精神病を患い、仕事に就けず、ホームレスになる人々。

もうそこに「憧れの豊かなアメリカ」の姿は、もうない。日本は二の舞になるでないということか。

今度のイラク戦争の予算は、ベトナム戦争のそれに近付いているという。敗戦は、決定的だ。おそらく、この現実をアメリカ人の多くも理解しており、イラク撤退後は、きっと、かつての伝統であった「孤立主義」へと舵を切るだろう。

そんなずたずたのアメリカと日本がどう付き合っていくべきかを、そろそろ真剣に考えていくべきだと思った。

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by masagata2004 | 2008-07-30 23:17 | 映画ドラマ評論 | Trackback | Comments(0)

映画「アース」 これはオススメ

渡辺謙のナレーションで送る北極から南極に渡る地球の大自然と生物の営みの大スペクタクル。

久々に私の80インチ・ホームシアターが効果を発揮した映画だった。

良かったのは、北極熊をモチーフに地球の自然の危機を分かりやすく説明している点。

これらの映像を撮り集めるのには苦労しただろうなと思うようないいシーンがずらりと。

これを見ると地球を大切にしようね、と思うのだが、どうせ北極の氷はなくなっていくし、北極熊も2020年までには絶滅してしまうそうな。見られるのは動物園でだけ。

今、どうせCO2を大幅に減らしても、後1世紀は温暖化は止まらない。というのは、今進行している気温の上昇は過去に排出されたものだから。まあ、早いうちにブレーキをかけておこうというのだが、ただ、「地球を守ろう」とか叫ぶだけでは駄目。

経済とか政治なんかの問題が複雑に絡んでいる。もち、グローバル化や貧困問題も。そのことをしっかり勉強しないと。

最近のニュースでは北極の氷がなくなって白熊は困るけど、北極周辺の国々は喜ぶそうな。特にロシアは接する海域には石油やガスなどの天然資源がたんまりとある。でも、この映画で意外なこと知った。ロシアの針葉樹林、タイガーは、地球上の樹木の3分の1を占めているそうな。ロシアとの付き合いは、今後重要になるね。

熱帯雨林は地表面積の3%なのに、生物の50%が生息しているそうな。この熱帯雨林に関しては、私のこの環境小説を読んでくださいな。

とにかく、この映画オススメ。映像ドキュメンタリーのわりに退屈しない構成になっているのに感心しました。只今、レンタルされています。

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by masagata2004 | 2008-07-27 00:14 | 環境問題を考える | Trackback | Comments(0)

映画「オレの心は負けてない」 終わっていない従軍慰安婦問題

先週土曜日は、映画の日で、1000円で観賞できるということでふと通りかかった映画館でドキュメンタリー映画を観た。

題名は「オレの心は負けてない」というもので、宋神道という名の朝鮮出身の女性が、自ら慰安婦とされた過去に対し、向き合い、90年代、日本政府に対して謝罪と賠償を求める訴訟を起こした記録である。

このようなテーマを聞いて、抵抗を持つ人もいるかも知れない。だが、日本人なら誰でも関心を持つべき日本史の暗部をほじくり出す内容である。従軍慰安婦に関しては、南京虐殺と並んで、否定論がくすぶっているが、この映画の中でも説明があったように日本の裁判所も事実を認定して、国家責任があったことを認めている。最近では、国内に留まらず、アメリカ、オランダ、カナダの議会で日本に謝罪や賠償を求める決議案が可決している。今や、世界が注目する問題となってしまった。

裁判は、「在日の慰安婦裁判を支える会」の女性達が執り行い、宋神道さんと共に彼女たちの活動も記録されていた。宋神道さんは、慰安婦という過酷な人生を歩んだとは思えないほど、快活な話しぷりをする女性であった。支える会の女性達は、この老女からいろいろなことを学んでいく。裁判は、最高裁にいたったが、結局のところ、賠償を請求するには至らなかった。事実認定はされたものの、司法の限界というところだったのだろうか。過去の日本がしたことを新しい日本の法律で裁くというのには無理があるということだろうか。

そもそも、これは政治が解決すべきことなのかもしれない。93年に河野談話があり、そして、民間基金による補償をしたが、それは公式とは言えず不十分なものであった。その後は自虐史観否定の嵐にまみれ、ついには安倍前首相の「狭義の意味の強制はなかった」発言で、無反省ぶりをさらけ出す事態に。所詮は、それが日本の世論を反映したものとも言える。

しかし、希望がないわけではない。この記録映画で分かったように、日本女性が、宋神道さんを支えるため無報酬で戦い抜いたという事実があるからだ。日本の市民にまだ良心があるということだろう。私は、数年前から、南京虐殺の事実を世間に知らせる活動をしている市民団体と交流している。つい昨日、その団体の集会に参加したところだ。その時の報告をJANJANというネット新聞の記事として投稿した。

彼らの活動を「反日的だ」と非難する人は、あまりにも認識が不足していると思う。私は、むしろ彼らのことを誇りに思っている。

過去の過ちに向き合い、そして、二度と繰り返さないようにする努力を一人一人の市民が心掛けていかなければいけないのだ。それによって、新しい未来が築ける。

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by masagata2004 | 2007-12-03 21:05 | 映画ドラマ評論 | Trackback(1) | Comments(1)


人生は常に進歩していかなければならない


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