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ハリウッド映画「沈黙 サイレンス」 宗教とは? 神とは?

すでに小説の原作を読んで評論も書いており、その世界に引き込まれていたので、映画は、初日公開の日に観に行った。感想は、全く期待を裏切るものではなく、原作通りのイメージで、原作同様に感動を覚えた。

監督が、カトリック教徒ということが良かったのだろうと思った。ハリウッド映画ということでほとんどが英語(ポルトガル語という前提)だが、日本語で日本人の演技の優れた俳優達が、長崎弁で台詞を言う。情景や衣装も違和感がなく、日本映画と見間違うほどだ。日本市場を意識したためと思われる。ただ、この映画の初公開は、バチカンで、聖職者達に対してだったというのだから凄い。万国共通で理解できる内容だったらしい。

江戸時代初期のキリスト教禁教令により、キリシタン弾圧の激しかった長崎に、ポルトガルから二人の宣教師が密入国する。彼らの目的は、弾圧と拷問の末、棄教した神父を探すことであった。そして、隠れキリシタンの村にたどり着くのだが、彼らの存在は現地の奉行に知られることとなった。



ここからネタばれ
by masagata2004 | 2017-01-30 21:54 | 映画ドラマ評論 | Trackback | Comments(0)

演劇評論「新・こころ」 我々の知っている伝統とは?

夏目漱石原作の「こころ」を現代の視点で解釈して演劇にした作品。新宿3丁目でflying Stageという男性のみの役者により上演。以前、紀伊国屋でも同じ作品の劇を見たことがある。あくまで原作を忠実に劇にした作品でそれをきっかけに原作の本を買い読みもした。それについては、この記事を読んでいただきたい。

誰もが感じたのは、この小説は明治時代のゲイ文学ではないかということ。劇でも触れていたが、文中には「同性愛」ということが堂々と書かれている。現に、明治時代までの日本では同性愛は異端なものではなかったのだ。当時は、男色と呼ばれていた。それは、現代のゲイというのと違い、食べ物の好みといった程度で、性的指向がアイデンティティとなっていたものではない。

劇中では、明治初期に出版された男色文学について語る場面があり、異性愛と同様に一種のロマンスとして捉えられている。男色は硬派。女性としか付き合わないのは軟派といわれていた。

しかし、それも日本の近代化の中で廃れていってしまう。「こころ」は、それを憂いた作品ではないかと思わせてくれる。

この劇で重要なメッセージは、同性愛を含め、現代の日本人が伝統として考えている「伝統」は実をいうと、近代化を始めた時代に西洋から受け継がれた部分が案外多いということだ。


続き
by masagata2004 | 2016-04-04 10:01 | 演劇評論 | Trackback | Comments(0)

映画「パレードへようこそ」 求めるよりも与えよ

先月、東京でゲイ・パレードが実施された。私は、それに参加した時に、この映画のことを知った。
 

1980年代、ロンドンの同性愛者達が、炭鉱労働者のスト支援のため募金活動を始めるが、彼らが彼ら自身であるがために猛烈な反発を受けることとなる。だが、自分たちと同様に苦境に立っている人々を救わんとする情熱が、反発をする人々の心を揺り動かしていく。

コメディ映画ぽい脚色があるものの実話を元にしたドラマだ。実際に、その募金活動の成果があって、ゲイパレードに炭鉱労働者が多く参加。そして、その後の同性愛者の人権擁護政策の後ろ盾にもなったという。ちなみにイギリスは昨年、同性婚を合法化している。

この映画で、学ぶことは自分が虐げられている立場であるということにいじけて、不遇を恨んでばかりでは世の中を変えることはできないということだ。もっと、自分以外に世の中で苦しんでいる人々に目を向け、自分自身が救い主になろうとする精神を持たなければならないということだ。

映画では、救われたと感じた炭坑夫とその家族や関係者たちが、一緒にデモに参加してお返しをする。実際のところ,炭鉱夫たちはストによる政府との交渉に負けたのであるが、多額の寄付を受け取り、その感謝の念は尽きなかったということである。

また大事なことは、偏見とは、実際にお互いが顔を合わせ話し合い、行動して真の姿を相手に見せることで、切り崩すことができるようなものだということだ。歴史が見事に、それを証明している。

by masagata2004 | 2015-05-16 22:17 | 映画ドラマ評論 | Trackback | Comments(0)

ソ連映画「ベルリン陥落」 プロパガンダだけどいい作品

第二次大戦が終わって4年後に上映されたソ連映画。それだけに、独ソ戦の実態が刻銘に描かれていたような気がする。いい例が、ヒットラーと握手するナチスドイツの味方側に日本とバチカン王国がいたというところだ。当時であるからこそ明確に表現できた箇所が見受けられる。

ストーリーは、若い女性教師と製鉄工員の恋物語を中心に繰り広げられる。二人は麦畑で婚約をするのだが、その時にドイツ軍が二人の村を襲撃。二人は負傷し、女性は捕虜となり離れ離れに、怒った男はドイツ軍への復讐を誓い兵士となる。

最終的には、ソ連軍がベルリンを占領。議事堂を支配下に置き、最後、男は捕虜となっていた女性と再会。そこに、スターリンが参上。スターリンのおかげで解放されたと東欧諸国の人々が感謝の意を叫ぶ。スターリンは実に英雄であったという見事な終わり方。

まさに、プロパガンダだけど、終戦間もないこともあって、事実に関してはごまかすわけにはいかず、ほぼそのまま再現されたかと思うと興味深く観賞できた。

以下、抜粋すると、

続き
by masagata2004 | 2014-09-21 12:20 | 映画ドラマ評論 | Trackback | Comments(0)

中曽根元総理を証人喚問しよう

朝日新聞の慰安婦訂正記事で右派陣営が勢いづいている。「朝日は責任をとれ!」と気勢をあげているのはもちろん、自民党の政務調査会議は河野談話も朝日報道が前提だとして「河野談話を撤回し、新たな官房長官...
こんな記事が出た。

つまり、中曽根元総理なら真実が語れるということだ。

そして、それが彼にとって、最大の国家国民への貢献になるのではないかと思う。

中曽根氏を証人喚問するというのは、彼を糾弾することを意味するのではない。真実を堂々と語ってもらうのだ。

実をいうと、面白いことに、日本が戦争問題に関して大きく貢献できることとして挙げられるのが、こういった加害者が証言をできるということだ。

従軍慰安婦に限らず、南京虐殺でもそうだ。同じことは、他の国の軍隊もしていたが、加害者が証言をした場合、その人物は告訴される恐れがあるので、当然、躊躇される。

日本は、その点、免責されている。だからこそ、真実をつまびらかにすることができる。

慰安婦で、これほどまでに論争が起きているからこそ、むしろ最も権威のある立場の人が、生の体験を生で証言することには、大いなる意義がある。

むしろ、歴史を大きく転換することさえできるのだ。人類をより、もっと進歩させることができる。

中曽根さん、是非とも。墓場にもっていかず、死ぬ前に人類最大の貢献を。

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by masagata2004 | 2014-08-31 11:00 | 時事トピック | Trackback | Comments(2)

子だくさんのところほど子供は大事にされない

政府の有識者委員会が日本の少子化を危惧している。しかし、モルガン銀行東京支店長などを務めてきた藤巻健史氏は、少子化は本当に経済に悪影響を与えるのだろうかと疑問を呈する。***大海のごときミシガン...
政府が少子化を深刻に受け止め、多大な予算を使って対策を練るそうな。

少子化に対して、それが特に国家の経済にとって悪いことなのかという議論がある。もし悪いなら、何を為すべきかという議論が続いて起こる。

しかしながら、ここで述べておきたいのは、日本の出生率が高かった時代、まさに「産めよ、増やせよ」などというスローガンが横行していた時代、子供が今ほど大切にされていたかということである。

かつて日本には「口減らし」という言葉が使われていた。これは、産まれた子供を海に捨てたりした習慣だ。

また、農村などで子だくさんだったのは、子供を労働力として使い、場合によっては奉公などに売り飛ばす手段としていたからである。

1983年のNHKの朝の連続テレビドラマの「おしん」は、そんな貧しい農家の娘が主人公だったが、売り飛ばす時に母親が悲しんで見送るシーンが有名になったが、意外にもあっさりと売り飛ばしたのが現実ではと思う。その時代の農村では、ごく当たり前の慣習だったからだ。

現在、放送されている連続ドラマの「花子とアン」では、「おしん」にも重なるところがある。主人公の女性は、貧しい家庭に育ちながらも、給費生として当時としては富裕層しか受けられなかった高等教育を受け、プロの翻訳家となる。だが、彼女以外の兄弟姉妹は奉公や養子に出されてしまったという。父親は彼女だけ才覚があると考え期待をかけ、他の兄弟姉妹を犠牲にしてでも、高等教育を受けさせたのだ。

海外に目を移せば、欧州のグリム童話の「ヘンゼルとグレーテル」が、いわゆる口減らしで森に置き去りにされるストーリーが代表的だ。童話では継母がそうするような経緯だが、この童話の元となった現地の言い伝えでは、生活が苦しく実の母親がそうするということになっている。

最近、「家族は仲良くやっていこう。子供は宝」というスローガンを振りまく人々がいるようだが、現実論からいうと、かつて子供はそれほど大切にされてきたとは言い難いのである。

むしろ、今の方が豊かになり大切にされお金をかけるようになったから、子供は少なくなったといえる。
by masagata2004 | 2014-06-01 15:12 | ライフ・スタイル | Trackback | Comments(0)

NHK朝ドラ「花子とアン」に夢中

はっきり言って、私はNHKの朝の連続テレビドラマは好きではなく、これまでまともに観たことがない。

どれも、ある一定の既定路線で、わざとらしく、結局は、ハッピーエンド。毎朝観るに値する内容ではないと常に思っている。

だが、実をいうと今回のだけは違う。これはなんでも実在した人物の伝記を基にしている。それも自分にとってはとても親しみの持てる仕事をしていた人。翻訳家が主人公だ。

村岡花子という翻訳家で、あのカナダの名作「赤毛のアン」を日本で初めて翻訳して紹介した人物である。

生まれは19世紀の末期で、その後、東京のカナダの宣教師が創立させた女学校に入学、そこで英語を学び翻訳の道を志し、ラジオ番組のアナウンサーも務めた。第2次大戦中、カナダ人からもらった「赤毛のアン」の本を秘かに翻訳執筆。戦後、出版させ日本に大ブームを巻き起こした。そのおかげで、カナダのプリンスエドワード島は、毎年、日本人観光客で一杯で島の経済に大きく貢献しているという。

ドラマは、そんな村岡花子の半生をフィクションを交えながら展開している。

ドラマでは、その村岡花子の生涯だけでなく「赤毛のアン」のオマージュも多々見受けられる。石板でクラスメートを叩いたりするところや、花子が奉公に出されるはずだった先が、男の子を必要としていたので、花子が拒否されるなど、敢えて「赤毛のアン」と村岡花子の人生を絡めているのが粋である。

また、番組中に出てくる英語学習とそれを翻訳する場面がいい。ラブレターを読む場面で、"Since we met, not a day has passed that I have not thought of you."(あなたと会ってから、あなたのことを考えない日がありません。)ととても詩的な表現が学べた。

翻訳に関しては、自らも悩む自然な訳とは何かということ。
英語の授業で"My hair is turning gray. That is a long story."を「私の髪の毛は灰色になっています。それは長い話です。」と訳すか「髪の毛に白髪が増えてきています。話すと長いのです。」と訳すべきかという論争場面は実に意義があるもの。

もっとも、フィクションだから、全てが事実と捉えてはならず、脚色が多々あり、わざとらしい家族愛なんてのも混じっているのが、しっくりいかないのだが、それにも増して、こんな人生があったのだろうか、あの時代にこんなことがあり得たのかという事実が学べて、そのことに感動を覚える。以下、二つの事柄がそれだ。

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by masagata2004 | 2014-04-27 19:55 | 映画ドラマ評論 | Trackback | Comments(0)

映画「小さいおうち」 東京版「細雪」か

昭和初期の中流家庭の生活を描いたレトロ時代ドラマ。

山形県から女中として東京のある一家に住み込むことになった若い女性が、雇い主である奥様の秘かな情事を知ってしまい、思い悩むことに。

ストーリー自体は、そんなに大したものではなく、ただかつての時代がどんなものであったのかを、如実に表した内容に思われる。現代との対比では、やや余計な描写が多過ぎた感じがする。

ただ、すばらしかったのは奥様役の松たか子の演技である。着物姿もばっちり。当時の上品なマダムの喋りぷりなんかも、きれいに再現していたような感じだ。その点からすると、同時代を舞台とした作品「細雪」を思い起こす。「細雪」は大阪が舞台だったから、さしずめこの映画は東京版「細雪」といえる。

また、マダムが若い男性と秘かな情事に走るという点では、「アンナ・カレーニナ」を思い起こさせる。

ドラマの中には、巧みに伏線が混じっていたのが印象的だ。子供の絵本に「タイタニック」。真珠湾攻撃の日に「風と共に去りぬ」を読書(当時日本で出版されていたのかな?)。

つまり、日本が戦争をしていた時代なのに、やけに庶民はのんびりで危機意識を感じていなかったということだ。あの時代でさえ、お受験なんてものがあったのだ。だから、今となんら変わりがないということ。

つまり、いつだって当たり前の平和は壊される状況にあるということなのだろうか。

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by masagata2004 | 2014-02-19 23:39 | 映画ドラマ評論 | Trackback | Comments(0)

遠藤周作作「沈黙」 クリスマスに考えるべきこと

クリスマスが近いということで、たまたまブックオフで105円で売られていたこの本を買った。なんでも、ハリウッドでの映画化も予定されているとか聞いた。

ストーリーは、キリスト教に禁制の令が出て、キリシタン狩りが猛威を振るう江戸時代の日本が舞台。師として尊敬するある司祭が拷問され棄教したという報告を受けたポルトガル人の司祭二人が密航船に乗り込み、長崎の地に入る。そこで隠れキリシタンたちに対し信仰を施す。だが、彼らの存在が権力側に明らかとなり過酷な運命にさらされることに。

実に巧妙に書き込まれているのが驚き。遠藤周作はキリスト教をテーマにした作品が多いというから、まさにその集大成ともいえる内容であった。この作品は実在の人物がモデルだというのだからさらに驚き。

キリシタン狩りといえば踏み絵だが、踏み絵だけではごまかされると唾を吐くことまでされる場面を読み、当時の幕府がいかにキリスト教を排除しようとしていたかが刻銘に表されている。

江戸幕府のキリスト教弾圧は、鎖国と同様に西洋帝国支配から逃れるためであったとされる。植民地支配は宣教師を使い、現地人を洗脳させ、抵抗意欲を失わせるのが方策だ。それを当時の幕府は恐れていたのである。

題名の「沈黙」とは、過酷な運命にさらされている人々にどんなに祈りを捧げても、何の救いもないことから言い表された言葉。

さて、ネタバレをすると、



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by masagata2004 | 2013-12-23 20:44 | 書籍評論 | Trackback | Comments(0)

映画「42 世界を変えた男」観てきました



今年の4月にアメリカで公開され、ついに日本で公開されたこの映画。初日にさっそく観てきた。以前、いかに私がこの映画を観たかったかを記事にしたが、映画はまあまあの出来栄え、分かりやすい伝記ものとして仕上がっていた。アメリカではすでに語りつくされている実話なので、余計な誇張ができなかったのだろうと思う。

ちなみに、映画中のブルペン下の廊下でバットを折る行為は、ロビンソン夫人の話では、そんなことはなかったはずという。ただ、それほど彼の受けた仕打ちというのが凄まじかったということを表したのだろう。

映画の中で印象に残ったのは、以下の場面。

1.英語の同情(sympathy)は、ギリシャ語の「苦しむ」という言葉が由来だ。だから、苦しみを共有できたということだ、とブランチ・リッキーがいう場面。

2.観客席で白人の子供が、父親や周囲に乗せられ「ニガー」と叫ぶシーン。つまり、偏見は伝承されていくということを意味する。

3.ロビンソンとプレーすることを拒否したチームメートが他の選手から嘆願書を集めるが、ある選手は腕を冷やしていたためサインができないと拒否。実際には、彼はサインする気はなかった。

この映画では、ロビンソンの生い立ちについてはしっかりと語られていなかったが、彼は人種差別の激しい米南部で生まれた。母子家庭で育ったのだが、あまりにも差別がひどい環境だったので親子でカリフォルニアに移住。だけど、そこでもプールは白人のみだったりと人種差別はあった。子供のころ、隣人の白人の子供から差別的な言葉を浴びせられけんかになった時、母親が、安易にやり返すことはしてはならない、だけど、いうべき時にはきちんと言って返さなければいけない、と教えられたという。それが、後の彼を形作ったとされる。

しかしながら、この映画を人種差別克服のドラマとだけ観るべきではない。映画の中では、野球の面白さもしっかりと表している。というのは、ロビンソンが、得意とした盗塁技である。野球はやたらとヒットとホームランが醍醐味として強調されるが、それだけではないのだ。

手強い選手をフォアボールで1塁に行かせて安心してはならない。その一塁で、その選手が盗塁をしようとして投手を混乱させる。そのため、投球に集中できない。ついに2塁へと盗塁させられ、ますます投手は混乱に陥る。すると、2塁から3塁を狙う。そこで、混乱、集中して投球しようとしたが、グローブからボールを落としてしまう。これはボークである。よって相手側に一点が入ってしまう。

この映画で初めて「ボーク」なるものを知ってしまった。その意味でいい野球映画だ。

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by masagata2004 | 2013-11-03 11:07 | スポーツ | Trackback | Comments(0)


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