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北海道ニセコの粉雪上で叫ぶ「日本は美しい」

JANJANより転載、修正、加筆

大雪に見舞われ、日中の最高気温が零下を下回る厳しい季節の北海道だが、筆者のようなスキーヤーにとっては最高の場所になっていた。1月11日から12日の間、北海道はニセコ・スキー場に行き感激と驚きの体験をした。
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ニセコ・スキー場から見た羊蹄山 筆者1月11日撮影

 ニセコ・ユナイテッド・スキー場は、北海道屈指、いや日本屈指のスキー場と言っていいだろう。その広さのみならず、雪質において、本州のスキー場でかなうところはないといっていいくらいだ。特に、魅力的なのはパウダースノーと呼ばれる粉雪で、さらさらの米粒のような雪が積もった状態で、それはまさにパウダー(粉)のようで、手で固めても雪玉が作られないほどさらさらしており、他のスキー場と違うのは、板をふんわりとした深雪に落とし込ませても、ぬかるみにはまるような重みは全く感じず、するりと進んでいけるのである。まるで水中を動いているような感触であった。
 また、そんな粉雪だけでなく、もう一つの魅力は、他のスキー場と違い、スキー場管理区域外の原生林を滑ることができることだ。圧雪していないのはもちろんのこと、原生林の木々の間を渓谷などの地形と共に滑降する体験ができる。
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スキー場管理区域外の国有林地帯

 一つ間違えば遭難してしまうのではないかというスリルが味わえる。ちなみに管理区域外なので、遭難した場合は救助費用を請求させられる決まりになっている。「ニセコ・ルール」と呼ばれるスキーヤーやボーダー達に対して自己責任で楽しんで貰おうという考え方だ。
 だが、そんなスキーの感激とは別に、このニセコで大変驚く体験をしてしまった。ゲレンデに来ると、そこは、外国のスキー場ではないかと勘違いしてしまうほど、外国人のスキーヤーやボーダーだらけなのだ。その多くはオーストラリア人だという。それは、ゲレンデに限らず、麓の町もそうだ。バーやレストランは外国人だらけで、宿泊した旅館も外国人用の部屋が設けられており、看板や標識は日英語表記で、外国人向けの不動産仲介業の看板も目にする。
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外国人向け不動産仲介業者の看板

 なぜ、そんなにオーストラリア人が多いのか、ニセコで出会ったオーストラリア人に聞くと、何でもオーストラリアにはスキーのできる山があまりないとのことだ。また、南半球のオーストラリアは真夏で、摂氏40度から50度の猛暑になるので、避暑という意味があるという。そのうえ、観光としてスキー、温泉も味わえるというので、人気のあるリゾート地になっているというのだ。現地に夏休みとして滞在しているオーストラリアの女学生が「ここにいると日本にいるとは思えない」というほどニセコはオーストラリア化している。さしずめ、それは日本人にとってのハワイのような存在だ。
 スキーの後、冷えた体を温める温泉では、スウェーデン人のスキー客に出会った。そして、彼らからびっくりすることを聞いた。それは、彼らがスキーのためニセコに来たというのだ。本国は北国だから、ニセコに負けないスキー場が近くにあるのではと訊いたが、スウェーデンは寒く雪は降るが、ニセコのように雪が2-3メートルも積もることはないのだという。「日本には、素晴らしいものがあるね。スキー場、温泉と、我が国には、そんなものはない」と話してくれた。
 何とも誇らしい気分にさせられた。ついつい、我々は外国、特に西洋の国々を羨んでしまう傾向にあるが、逆に日本にも彼らを惹きつける観光資源が存在するということなのだ。
 自慢できる観光資源といえば、北海道とは正反対の気候の沖縄を思い出した。そこには雪の銀世界の代わりにエメラルド・グリーンの海がある。見ているだけで心が潤う。面白いことに沖縄と北海道には共通点がある。世界中の人々を魅了できる観光資源があるだけではなく、領土の一部が外国に占領されているということだ。北海道の北方4島はロシアに、沖縄は米軍によってだ。
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沖縄 ジュゴンが生息する嘉陽の海 その向こうに米海兵隊基地がある。2010年8月撮影

 昨年、ロシアの大統領が北方領土を訪ね「ロシアは美しい」という言葉を発したようだが、筆者もそれにあやかって、ニセコのパウダースノーの上で「日本は美しい」と叫んでみた。
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小樽駅近くに掲げられた横断幕
 そうだ、そんな美しい日本なのだから、命を懸けて守ろうではないか。エメラルド・グリーンの海と同様にふんわり・さらさらの雪が、日本人として生まれてよかったと思わせてくれた体験だった。




【ご意見板】22 件の書き込みがあります
太郎 2011年 1月 14日 18:10 > そんな美しい日本なのだから、命を懸けて守ろうではないか。
> エメラルド・グリーンの海
そうですね。そのためにはアメリカ軍に駐留してもらうことはぜひ必要ですね。アメリカ軍が沖縄にいてくれたからこそ、「オキナワ」が誰にも占領されずにエメラルドグリーンの海を守っています。一方、アメリカ軍が居なかった北方領土はロシアに不法占拠され、「白銀の絶景」を奪い取られました。アメリカ軍の必要性を再認識させてくれる良記事ですね。
海形マサシ 2011年 1月 15日 11:23 太郎さん
>アメリカ軍が沖縄にいてくれたからこそ、「オキナワ」が誰にも占領されずにエメラルドグリーンの海を守っています。
沖縄は第2次大戦でアメリカにそもそも奪われた島なのでは。守られているという認識はおかしいのでは。返してもらったと言っても、一部の占領は継続、主権は侵害、現地では沖縄には基地の中に町があるという認識で迷惑かけ放題ですよね。ベトナム戦争時は前線基地として利用しており、今では思いやり予算で安くつくから使用を継続だって。
中国の尖閣侵攻も、本気で守る気配は見せてなく、両国で対話をのぞむんだって。その中国とも仲良しだし。
>一方、アメリカ軍が居なかった北方領土はロシアに不法占拠され、「白銀の絶景」を奪い取られました。
北方領土がロシアに占拠された時は、アメリカとロシアは枢軸国と敵対する盟友でしたよ。まあ、戦後、アメリカはソ連の共産主義拡散を恐れ、ロシアが北海道まで奪い取ろうとするのを阻止しましたけど。
ついでに言えば、不法占拠された北方領土に対し、アメリカは日米安保の適用対象外と明言しています。何であれ、アメリカは命をかけて北海道も沖縄も本土も、守ってくれやしません。それができるのは、日本国民だけでしょう。
面白いですね、何度も、こういう記事書くと、必ず、アメリカ・マンセーのノー天気な人達が書き込みしてくるんですよね。親米右翼って奴? 所詮は自分たちの片思いのくせに。それで愛国を語るんだから、頭どうかしていますね。
左翼見物者 2011年 1月 15日 17:43  海方さん
 日本には アメリカに何もいえない右と、社会主義国に何も言えない左がいます。
 どこに対しても物を言える人を目指してください。
次郎 2011年 1月 17日 00:35 >面白いですね、何度も、こういう記事書くと、必ず、アメリカ・マンセーのノー天気な人達が>書き込みしてくるんですよね。親米右翼って奴? 所詮は自分たちの片思いのくせに。それで>愛国を語るんだから、頭どうかしていますね。
これ,海方さんのことでは?
「米軍ハンターイ」のノーテンキな記事ばっかりですよね。
自分の記事に「まっとうな指摘」をされているのに,そういう返信は記者としていかがなもんでしょうかね。
海方さんの一連の記事を読んでいると,「誤った歴史認識」に基づく記述や誤認がありすぎます(誤字脱字はもっと多いけど)。もういちど「正しい歴史」を学んだらいかがでしょうか?
海形マサシ 2011年 1月 17日 01:00 次郎さん
あなたこそ、「まっとうな指摘」におののいているんじゃありません? 
正しい歴史って、北方領土問題のそもそもの始まりは、日ソ中立条約をソ連が一方的に破って侵攻してきたのを、当時の盟友であったアメリカが容認したことだよね。
ちなみに日ソ国交回復時、日本は2島返還で妥結するはずだったのをアメリカが日ソの関係をこじらせたいから4島返還を要求するように圧力をかけたんだよね。
それをアメリカがいなかったから、北方領土は奪われたって? アメリカが何もしなかったから北方領土は奪われたんでしょう。そのうえ、日米安保の適用対象外。沖縄は、アメリカが侵攻して、20万人も市民の犠牲者出して、アメリカが占領、主権を奪って25年後に返還したけど、その後も一部の占領を継続、思いやり予算をたかりながら防衛の義務なんて果たす意志なし。それを守って貰っているというわけ?
だから、ノー天気というんですよ。というか知的レベルが低いというか。
次郎 2011年 1月 17日 02:13 ・・・ホント,脊髄反射的な反論しかできな人ですね。
ノーテンキというか,知的レベルが低いというか。
「米軍ハンターイ」っていう思考を根底においてるから,記事にしてもコメントにしても「一方的で視野狭窄」になっている典型例じゃないですか。もうちょっと視野を広く持った方がいいですよ。ホント。でないと,このままじゃいつまでたっても「イタイ記事」「イタイ主張」を続けているだけで,誰も賛同してくれないですよ。
如来 2011年 1月 17日 07:55 海形マサシさん
 
>ちなみに日ソ国交回復時、日本は2島返還で妥結するはずだったのをアメリカが日ソの関係をこじらせたいから4島返還を要求するように圧力をかけたんだよね。
  
これの根拠を教えてください。初めて聞く話なので。
青木岳陽 2011年 1月 17日 13:33 7如来様
横から失礼します。
サンフランシスコ講和条約で日本は千島列島を放棄するとしていますが、北方領土のうち色丹・歯舞の2島は地形上も千島列島に含まれないため、返還要求が早くからありました。
一方、四島返還論は1951年に米国ダレス国務長官が国後・択捉2島は日本領土である旨の発言をして日本世論の反ソ誘導を図ったことが始まりです。
米軍を駐留させる代わりにサンフランシスコ講和条約で西側との単独講和を図った親米・吉田茂政権のあと、鳩山一郎政権は全面講和・武装中立論を掲げてソ連との関係改善を目指します。1956年日ソ共同宣言を巡る交渉では、2島返還か4島返還かで日ソ両国がもめますが、ようやく平和条約締結後に二島返還という共同宣言にこぎつけました。
ところが、日ソ交渉の最中、日ソ接近を警戒した米国ダレス国務長官は、重光外相とのロンドン会談において「日本が二島返還を受けたら、米国は沖縄を永久に返還しない」と脅します。このとき以来、日本は四島返還を要求し続けました。
北方領土交渉はソ連崩壊でロシアの日本に対する期待が高まったエリツィン政権時、プーチン政権初期などたびたび解決できるチャンスがあったものの、「2島先行返還ののち2島交渉」などの動きがある度に、外務省官僚や政治家の「四島一括返還から一歩たりとも引くまじ」という原則論が出て潰されています。
まあ、今となっては、日本が「あのとき米国に言われたから解決できなかった」とか愚痴っても、米国政府としては冷戦後の日露関係など知ったことではないでしょう。
如来 2011年 1月 17日 19:29 青木岳陽さん
解説ありがとうございます。勉強になりました。
しかし、
 
>北方領土のうち色丹・歯舞の2島は地形上も千島列島に含まれないため、返還要求が早くからありました。
 
私の理解では、択捉、国後も千島列島に含まれていなかったと記憶しています。
その昔、ロシアと樺太と千島列島の領有権でもめた時、力関係で日本は樺太をあきらめ、千島列島だけ領有権を得たと記憶しています。
その時、そもそも北方4島はその千島列島には含まれておらず、交渉の対象外だったと記憶しています。
堅山安夫 2011年 1月 17日 22:12 せっかく北海道のニセコにまで行ったのなら、
相変わらずの反米プロパガンダばかりではなく、
某国の森林買収とかにも目を向ければ良いと思うんですが。
如来 2011年 1月 17日 23:12 ここにも、先に結論ありきでしか考えられないお方がいらっしゃるようですね。
JANJANとはそういう方々が温存される特異な空間なんでしょうか。
如来 2011年 1月 17日 23:35 海形マサシさん
  
>沖縄は、アメリカが侵攻して、20万人も市民の犠牲者出して、アメリカが占領、主権を奪って25年後に返還したけど、
 
当時は戦争状態だったんだからしょうがないじゃないか。
でもって、大事な点は25年後に返還している点。この点がソ連と決定的に違う。
 
>その後も一部の占領を継続
 
これは合意のものでの駐留だからね。占領とは言わない。
現実に、日本がフィリピンのように決断すれば米軍は出て行くでしょ。
それは占領とは決定的に違う。
 
>思いやり予算をたかりながら防衛の義務なんて果たす意志なし。それを守って貰っているというわけ?
 
守る意思が本当にあるのかどうかは、証明不可能な命題でそんなことを延々と述べるのは幼稚だと思いますね。
それもかなり。
一番の意味は、抑止力として機能しているかどうか。
中国が、米軍がいるせいで日本を侵略、蹂躙できないでいること。ハードルが極端に高くなっていること。
青木岳陽 2011年 1月 18日 08:26 9如来さま
幕末の日露修好条約のときは、日本の実効支配が択捉島まで及んでおり、ロシアは得撫島まで進出していました。それで、国後・択捉は日本領、得撫島以北はロシア領、両国民が雑居する樺太は両属地と取り決めがされましたが、その後の明治政府は国境管理のため千島樺太交換条約で千島全島を日本領、樺太をロシア領と住み分けをしています。
明治からソ連軍占領時までの千島列島は、南千島の国後・択捉両島に市町村制を敷かれたものの、中千島は無人島で上陸制限され(自然保護区?)、北千島は漁民の季節集落と軍隊が駐留するだけだったと思います。
そういう区分はありましたが、サンフランシスコ講和条約のときは日本も千島を区分して、国後・択捉両島は千島ではないとする意識はあまりなかったようです。もちろん、当時から国後・択捉を区分する主張もあり、現在までの北方領土問題の日本側の基本主張になっている訳ですが、それが最初から最有力の意見ではなく、時期時期によって違ったようです。
青木岳陽 2011年 1月 18日 08:39 米英ソ三国によるヤルタ密約でソ連は対日参戦を決めた訳ですが、そのヤルタ密約の対日条項第1条は日本に関することではなく、なんとモンゴルに関することだそうです。
当時、外蒙古は公式には中華民国領でしたが、ソ連が占領して1924年に傀儡政権のモンゴル人民共和国を建国していました。立場としては日本の傀儡政権であった満州国と同じです。ソ連は対日参戦する代償にモンゴルの独立承認を求め、同じ連合国陣営ながらヤルタ密約から外された中華民国に外蒙古独立承認を強要します。
1946年に蒋介石は外蒙古の独立を認めますが、中華人民共和国が成立すると、台湾に逃れた中華民国政府は外蒙古独立を取り消し、中華民国全図にモンゴルが含まれているという壮大な虚構が続きました。その地図を見ると、現在ロシア連邦のトゥバ共和国になっている地域も外蒙古の一部であったようで、どさくさに紛れてソ連が自国領土に組み込んだことが分かります。
ソ連のやりくちはこんなもんですね。
青木岳陽 2011年 1月 18日 08:51 先日の報道によれば、韓国大統領府が、中国が50年間租借した北朝鮮の羅津港に警備のために人民解放軍を駐屯させたと発表し、中国政府は否定しているそうですが、中国軍の日本海進出が始まったのでしょうか。
北朝鮮崩壊などの騒乱時に中国権益を確保するための租借地駐留軍らしいですが、第二次大戦前、いやいや第一次大戦当時のマッチョな帝国主義の再現のようですね。
山県有朋の再来のような中国の「列島線」構想もそうですし、日本は帝国主義に走った結果、周辺諸国にどのような迷惑をかけ、自国がどうなったか、もっと中国に「歴史学習」をしてもらうべきでしょう。
別府有光 2011年 1月 18日 15:46 青木岳陽さま
あけましておめでとうございます。
日本のアジア侵略を迷惑の一言で片付ける物知りの青木様の言語感覚は驚異の一言ですね。
 
日本は自然だけが美しい!
田中宏『在日外国人』で知ったのですが、在日朝鮮人弁護士金さんの前に12人の在日が弁護士になったのですが、12人とも日本への帰化を余儀なくされました。
司法試験の受験資格は国籍要件はないのですが、難関の試験に合格しても、司法修習所への入所要件に日本国籍であることが決められていて、これは法律ではなく最高裁の規則なのですが、そこまでやるかという驚きの一語ですね。差別されたくなければ帰化しろということでしょうが、帰化しても差別がなくなる保障はありません。
金さんは裁判を起こし、折からのベトナム難民を巡る、難民条約の批准の追い風もあって、金さんは在日のまま、めでたく弁護士になることが出来ました。
如来 2011年 1月 18日 18:55 青木岳陽さん
 
>日本は帝国主義に走った結果、周辺諸国にどのような迷惑をかけ、 
いくらなんでもその認識は事実とあまりに違いすぎます。
日本はアジアの諸国を植民地支配から開放した解放軍ですよ。
これは歴史的に明確な結果です。
今でも、多くのアジア諸国が、独立できて日本に感謝しています。
  
捏造した反日教育あ徹底している、中国、北朝鮮、韓国は別ですがね。
青木岳陽 2011年 1月 19日 12:32 別府有光さま
松の内も過ぎてのあけましておめでとうですね。
先週の日中フォーラムで唐家璇国務委員は「尖閣問題で中国もやりすぎた」と述べ、その他多くの中国要人も日中関係の改善を発言して、中国政府の対日柔軟化が見えてきたようです。これはめでたいかもしれませんが、対する日本政府側の対中政策がはっきりせず、中国側に失望感を与えた、と中日新聞・清水美和氏の解説にありました。
 
さて、本記事から逸脱するので深入りしたくありませんが、日本の帝国主義が周辺諸国にかけた迷惑とは、当然にソフティケートした言い方で、それは中国にかかっています。
かつての日本の帝国主義的膨張の源は山県有朋の「主権線と利益線」の概念であり、現代中国が掲げる「第一列島線と第二列島線」はその焼き直しです。というより、山県有朋の師であり帝国主義的な地政学を提唱したフォンシュタイン(カールマルクスの師匠でもあります)の21世紀における忠実な弟子でしょうか。
帝国主義的な地政学に基づく膨張政策は欧州で第一次大戦を引き起こし、欧米諸国ではその反省に基づいて帝国主義が見直され、民族自決権の尊重や国際連盟やワシントン体制の国際協調が生まれました。日本は第一次大戦の悲惨さを経験しなかったことが、世界の潮流を見誤らせ、相変わらずの膨張主義が国際摩擦を生じさせ、さらに悲惨な第二次大戦にずるずる引きずり込んでいったのですね。
だから、日本の帝国主義的膨張を批判する人は、現代中国が日本列島の上に勝手に主権線だの利益線だのを引いて、そこを自国防衛の戦争範囲とされる迷惑さも批判すべきでしょう。中国が太平洋を米国と二分しようと提案したことがあり、それを当然視して迎合する意見さえ日本にあるのですが、平和裏に勢力圏を分けたことなら、日露協商により南満州・東部内蒙古と北満州・外蒙古に線を引いて日露が住み分けたことだってあるのです。しかし、そこに中国政府や中国東北部住民の意思など省みられていなかったでしょう。
歴史をそういうふうにタテヨコナナメに見ていくことが大切であって、親米・反米、親中・反中といった硬直した見方で捉えていては歴史を生かすことはできません。中国よ、かつての大日本帝国みたいにならないでくれよ、というのが「歴史の生かし方」ではないでしょうか。
 
もちろん、中国はいまのところ戦争を始めていませんし、他国民を虐殺した訳ではありません。しかし、中国の清朝時代、雍正帝に言わせれば文殊皇帝の下での満漢蒙蔵の一種の連邦国家であった由ですが、辛亥革命頃の中華民国は満蒙蔵を排除した漢族国家を標榜しています。その後、1930年代に日本の満州侵略やソ連の外蒙古侵略に対して「辺防意識」が高まると、「進んだ漢族」による「遅れた少数民族」の開化と漢族への統合が進められます。
これは日本の侵略に対する中国ナショナリズムの勃興と同時に、国内辺境民族に対する「内向きの帝国主義」とでも言うべき統合圧力となりました。中華人民共和国になると56民族の平等と自治が謳われましたが、「中華民族はひとつの家族」という概念は相当に人工的な虚構(もちろん「日本民族」が虚構である、とも認識した上で)です。
チベットやウイグルの状況がどんなものであるかここでは述べませんが、中国政府が国内少数民族に対して行っている行為が「迷惑」という言葉で済まされていいのか、ということも認識すべきでしょう。
青木岳陽 2011年 1月 19日 12:34 如来さま
戦前の日本の主流は天皇、外務省、海軍、財閥や地主に支持された政党政治ですが、これは古典的な資本主義に基づく自由貿易と対英米協調による従属的帝国主義です。それに対する非主流派として民間のアジア主義の底流があり、欧米列強からのアジア解放をめざす動きは確かにありました。
アジア主義右翼は中国革命に大きな貢献を果たしましたが、結局は世界恐慌とブロック経済化による主流派の後退と非主流派右翼の伸張に内外情勢が絡まり、アジアへの戦争を進める原動力に変わって「進んだ日本」による「遅れたアジア」の開化と日本への統合という「日本流の帝国主義」とでも言うべき圧力を押し付けた末に失敗します。
大東亜共栄圏構想にしろ、対米宣戦の直前になって南方進出の大義名分を天皇から問いただされた政府が窮余の一策で持ち出したものであり、政府、軍部の官僚としては重要視すべき問題ではありませんでした。もちろん民間にアジア解放を真剣に考える志士がいたことは確かですよ。しかし結局はプロパガンダに利用されたにすぎなかったと思います。
一方で、アジア諸国を含めた国際社会における第二次大戦の意義は「ファシズムに対する民主主義の勝利」です。悲惨な第二次大戦の反省を踏まえて人権宣言が出され、現在の国際社会の諸国は人権と民主主義を守ることが求められています。なんたって「国連」は「連合国」の日本的言い換えに過ぎないのです。
そこで、例え善意からでも、かつての日本の戦争行為について肯定することは、現代国際社会の基盤を否定することにつながります。これを日本人はよくよく知っておかなければいけないと思います。
その一方で、「人権と民主主義」の守護神だと自負する連合国側が、戦後の朝鮮半島で、ベトナムで、中東やアフガンで何をしたのか、その現実も批判的によく知っておく必要があります。それがクレバーに世界を見るということでしょう。
海形マサシ 2011年 1月 20日 22:38 如来さん
>これは合意のものでの駐留だからね。占領とは言わない。
日米安保が独立を認めるための交換条件だったというのは有名ですよね。今は亡きソ連の脅威を盾にした。
>現実に、日本がフィリピンのように決断すれば米軍は出て行くでしょ。
それは占領とは決定的に違う。
外国軍の基地には治外法権が、実質的に認められています。環境基準や航空管制などね。羽田空港なんかで飛行機が無駄な旋回するのがいい例。日本が決断すればいいことだというのには賛成。ただ、そういう決断が出来ないのはアメリカ守護神神話にすがっている人がいるからね。
>一番の意味は、抑止力として機能しているかどうか。
中国が、米軍がいるせいで日本を侵略、蹂躙できないでいること。ハードルが極端に高くなっていること。
沖縄返還時、尖閣諸島の領有権は認めず、施政権を認めるという形にしたのは、アメリカが中国に気を遣っているからですよ。沖縄返還の時ですら、そうなのですから、今や中国はアメリカにとっては大のお得意さん、米国債、米国製品とね。
抑止力というものこそ、証明不可能な命題です。
草薙紅玉 2011年 1月 21日 07:19 20.海形マサシ さん
>アメリカ守護神神話にすがっている人がいるからね
逆に、米軍不要という人で、具体的な国防案を示す人がいないんですよね。
ちなみに日本独自防衛すると日本の防衛予算っていくらくらいになりますか?
中国の台湾侵攻はどのようなタイミングであると思いますか?
米国は台湾関係法により台湾有事には台湾を守る(本来の意味で)義務がありますが、その為の駐留部隊に撤退しろという事は、台湾を見捨てるということですか?
日本は中国の台湾侵攻を阻止すべきだと思いますか?
中国は日本のせんかくを含む領土侵攻の意図を持っていると思いますか?
アメリカ守護神神話にすがっている人ってjanjanの中にいる人では誰ですか?
草薙紅玉 2011年 1月 21日 09:21 18.青木岳陽 さん
>他国民を虐殺した訳ではありません
他国を侵略して自国民としたあとに虐殺。
同族でも思想が違うと虐殺。
by masagata2004 | 2011-01-14 15:11 | スキー | Trackback | Comments(0)


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