米大学で学んだ経済学1Aのレクチャー
1990年代、私がアメリカに留学していた時に体験したことを綴るシリーズ。
経済学1A、Economics 1Aといい、通称Econ1A(イーコン1A)と呼ばれていた。ビジネスを専攻する人なら必ず取らされる科目で、私は教養課程として取った。この講義は、経済の基本を学ぶもので、経済学の入門コースだ。それなりに面白かったと記憶している。
卒業して学位を取ったサンフランシスコ州立大学の前に通ったサンタ・ローザ短期大学で取った講義である。
講師は、ジャック・ウェグマンという強面の中年男性だった。
まず、経済(Economy)の定義を語った。それは、
rational allocation of wealth (合理的な富の分配) である。
この言葉は、その後、サンフランシスコ州立大学に編入して専攻した国際関係の講義でも使われた。でもって、資本主義を批判する時にも使われる定義である。世界大恐慌の時代、葡萄の価格が暴落したため、農場では収穫したばかりの葡萄をブルドーザーで潰すことがあった。その光景を見て、世の中には食料が買えず飢えるものもいるというのに、有り余っている農作物を潰さなければいけないとはirrational(非合理)だと。
もちろん対する、共産主義にもirrationalなところはある。つまり、経済とは、富の分配であるからして、マネーゲームとかいう発想ではないと自分なりにそれ以後感じている。
金持ちというのは、お金をつくったから金持ちになったのではなく、限られた富のパイでより多くを占めているから金持ちなのだ。だが、それだけ金持ちができるということは、パイを取り損ねた負け組の貧困層が確実に生まれるというもの。働けばリッチになるというものでは必ずしもない。
また、他に学んだことで印象に残ったことといえば、Opportunity Cost(機会対価)というもの。
あるものをとると、あるものを失うとかいう考え方。具体例を挙げると、団体旅行のパッケージツアーが安いと思ってそれを購入したものの、どこに行くにも団体行動を強いられ、自分のペースで旅を楽しむことができなくなる、ということなんかがいい例。最近、私が身近に体験したこと。逆に個人で旅をした場合は、自由に楽しめるもののその分、コストがかかってしまう。いいとこ取りはできないなということか。
ただ、この講師は、典型的なアメリカ型自由主義経済を尊ぶ人だった。だから、当時議論されていたNAFTAにも賛成で、規制緩和大賛成の立場。また、国産のみにこだわるのではなく、自由貿易により、他国との製品が入ってくることによりお互いに刺激を受け、自国の経済を発展させるようにしていくべきという考え方だった。
そうだ、もう一つ思い出したことは当時、アメリカの不動産を買い漁っていた日本企業が非難を受けていたが、そのようなジャパン・バッシングは人種偏見によるものだと言っていた。なぜなら、外国人の中でアメリカ不動産を最も多く保有しているは、イギリス人だったからだ。
すでにバブルが崩壊していたものの、当時はまだ、日本を見る目は違っていた。ウェグマン氏は、生徒達に日本の経済システムを礼賛する経済学者レスター・スローの講演ビデオを見ることを課題とした。今から考えれば、かなり的はずれなことしていたなと思うが。
そんなところかな。
ところで、経済が富の分配という考え方だが、そのことで別の講義で思い出したことがある。それは、サンフランシスコ州立大学で取った環境学の講義で聞いた話である。かつてアメリカ大陸の先住民が所有という概念を持ち合わせていなかった理由の最も大きなところは、彼らにはものがたくさん溢れていたからだという。狩猟採集を主としていた部族にとって、限られた富を争って取る必要がなく所有の概念が生まれなかったのだという。
分かりやすく言えば、当時のネイティブ・アメリカンにとって食料や衣類などの日用品などのものは、今の我々にとっての空気のようなどこにでも有り手に入るといった感覚だったのだ。
西洋文明が入ってきても彼らがライフスタイルを変えようとしなかったのは、原始的な生活の方がはるかに快適だったからだという。
経済という概念が生まれたのは、その後、人間が農業革命を起こしてからだという。地球の人口が増え、その上、気候が寒冷化していったため、農業が生きる手段として必要になったのだ。そして、農業革命こそ人類の環境破壊の大きな元凶となっていったという。
人間とは必要に応じてシステムを変え適用して生きていくものなんだなあと、考えてしまう。
経済学1A、Economics 1Aといい、通称Econ1A(イーコン1A)と呼ばれていた。ビジネスを専攻する人なら必ず取らされる科目で、私は教養課程として取った。この講義は、経済の基本を学ぶもので、経済学の入門コースだ。それなりに面白かったと記憶している。
卒業して学位を取ったサンフランシスコ州立大学の前に通ったサンタ・ローザ短期大学で取った講義である。
講師は、ジャック・ウェグマンという強面の中年男性だった。
まず、経済(Economy)の定義を語った。それは、
rational allocation of wealth (合理的な富の分配) である。
この言葉は、その後、サンフランシスコ州立大学に編入して専攻した国際関係の講義でも使われた。でもって、資本主義を批判する時にも使われる定義である。世界大恐慌の時代、葡萄の価格が暴落したため、農場では収穫したばかりの葡萄をブルドーザーで潰すことがあった。その光景を見て、世の中には食料が買えず飢えるものもいるというのに、有り余っている農作物を潰さなければいけないとはirrational(非合理)だと。
もちろん対する、共産主義にもirrationalなところはある。つまり、経済とは、富の分配であるからして、マネーゲームとかいう発想ではないと自分なりにそれ以後感じている。
金持ちというのは、お金をつくったから金持ちになったのではなく、限られた富のパイでより多くを占めているから金持ちなのだ。だが、それだけ金持ちができるということは、パイを取り損ねた負け組の貧困層が確実に生まれるというもの。働けばリッチになるというものでは必ずしもない。
また、他に学んだことで印象に残ったことといえば、Opportunity Cost(機会対価)というもの。
あるものをとると、あるものを失うとかいう考え方。具体例を挙げると、団体旅行のパッケージツアーが安いと思ってそれを購入したものの、どこに行くにも団体行動を強いられ、自分のペースで旅を楽しむことができなくなる、ということなんかがいい例。最近、私が身近に体験したこと。逆に個人で旅をした場合は、自由に楽しめるもののその分、コストがかかってしまう。いいとこ取りはできないなということか。
ただ、この講師は、典型的なアメリカ型自由主義経済を尊ぶ人だった。だから、当時議論されていたNAFTAにも賛成で、規制緩和大賛成の立場。また、国産のみにこだわるのではなく、自由貿易により、他国との製品が入ってくることによりお互いに刺激を受け、自国の経済を発展させるようにしていくべきという考え方だった。
そうだ、もう一つ思い出したことは当時、アメリカの不動産を買い漁っていた日本企業が非難を受けていたが、そのようなジャパン・バッシングは人種偏見によるものだと言っていた。なぜなら、外国人の中でアメリカ不動産を最も多く保有しているは、イギリス人だったからだ。
すでにバブルが崩壊していたものの、当時はまだ、日本を見る目は違っていた。ウェグマン氏は、生徒達に日本の経済システムを礼賛する経済学者レスター・スローの講演ビデオを見ることを課題とした。今から考えれば、かなり的はずれなことしていたなと思うが。
そんなところかな。
ところで、経済が富の分配という考え方だが、そのことで別の講義で思い出したことがある。それは、サンフランシスコ州立大学で取った環境学の講義で聞いた話である。かつてアメリカ大陸の先住民が所有という概念を持ち合わせていなかった理由の最も大きなところは、彼らにはものがたくさん溢れていたからだという。狩猟採集を主としていた部族にとって、限られた富を争って取る必要がなく所有の概念が生まれなかったのだという。
分かりやすく言えば、当時のネイティブ・アメリカンにとって食料や衣類などの日用品などのものは、今の我々にとっての空気のようなどこにでも有り手に入るといった感覚だったのだ。
西洋文明が入ってきても彼らがライフスタイルを変えようとしなかったのは、原始的な生活の方がはるかに快適だったからだという。
経済という概念が生まれたのは、その後、人間が農業革命を起こしてからだという。地球の人口が増え、その上、気候が寒冷化していったため、農業が生きる手段として必要になったのだ。そして、農業革命こそ人類の環境破壊の大きな元凶となっていったという。
人間とは必要に応じてシステムを変え適用して生きていくものなんだなあと、考えてしまう。
by masagata2004
| 2006-01-15 16:57
| 米留学体験談
|
Trackback
|
Comments(1)
Commented
at 2006-01-19 16:56
ブログの持ち主だけに見える非公開コメントです。
私の体験記、意見、評論、人生観などについて書きます
by マサガタ
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