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朗読CDで「元始、女性は太陽であった」を聴く

CDを買うと言えば、普通、ロックやジャズなどの曲や歌の入ったものを聴くものだが、最近は初体験として、朗読CDを買った。CDのタイトルは「君死にたまうことなかれ」で、与謝野晶子、平塚雷鳥、津田梅子などの明治から大正にかけての女性著名人が書いた文章を栗原小巻が朗読したものだ。

特に惹かれたのは、婦人参政権運動家の平塚雷鳥が発刊した「青鞜」の創刊号で書き記した「元始、女性は太陽であった」の朗読だった。

「元始、女性は太陽であった。今、女性は月である。他によって光る青白い病人のようである。隠れた太陽を取り戻そう。」というフレーズが何度と繰り返される。

実に勢いのある文章である。心がこもり、抑圧から解き放とうと必死にもがく女性達の心情を分かりやすく描いている。この「太陽である」という言葉は、自ら輝ける自立したという意味意外に、古代の天テラス伝説に起因するものと言われている。

日本の女性は、戦後、米軍の民主化政策によって解放されたという言説がよく聞かれる。つい最近もブッシュ大統領が、「日本女性に参政権を認めるのには批判があり、夫に従順過ぎる女性達は政治的な自立思考ができないと言われていた」と演説をしたらしいのだが、これは間違いである。確かに、戦後の民主化により女性の参政権が認められ、その後、地位向上が進んでいったのだが、それはアメリカによって初めてもたらされたものとは言えない。

平塚雷鳥氏のような運動家が、戦前から必死の思いで築き上げたものが、戦後、大きく華開いたものだったと言える。大正時代、大正デモクラシーと呼ばれる民主主義運動が盛んで、所得に関係せず成人男子が投票権を得る普通選挙法が成立した。また、女性の場合で言えば、女性が政治集会に参加することを禁じた治安警察法も、雷鳥や市川房枝氏などの運動の末、改正させることができた。

参政権で言えば、昭和に入り、1930年、衆議院だけだが女性の地方議会の選挙権を認める法案が通過している。ただ、貴族院の反対により廃案にされたのである。翌年、満州事変が起こり日本が軍国化していってしまい、結局のところ滞ってしまった。もし、戦争がなければ、日本女性だけで勝ち取ることができたのかもしれない。それだけ、当時、婦人参政権運動の機運は高かったのだ。また、戦後の公職選挙法改正による婦人参政権も、新憲法発布の前であり、市川房枝らは「アメリカに与えられる形にならないようにしましょう」と提案し可決したとのことだった。

だから、日本にも欧米に負けないぐらいの婦人運動や民主化運動の根はあったのである。そういうものは他から決して押しつけられたり、与えられるものではない。

「元始、女性は太陽であった」という言葉は、まさにそれを象徴するものであろう。

ちなみに平塚雷鳥氏は、このブログの自作小説「白虹、日を貫けり」にも登場する人物です。
by masagata2004 | 2007-08-25 14:56 | 音楽 | Trackback | Comments(0)


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