「アグリー・ベティ」はまるで「プラダを着た悪魔」
NHKのBS2放送で、アメリカABCのコメディ「アグリー・ベティ」を放送していた。
これは、南米コロンビアの「Yo Soy Betty, la fea (私はブスなベティ)」のアメリカ版リメイクだ。コロンビアを含め南米中で大ブームとなり、インドやロシアなどでも現地版でリメイクされるほど世界的な大ブームになったメロドラマが元である。
ストーリーは、容姿がお世辞にも美人とはいえない若い女性ベティが、何の因果かニューヨークの一流ファッション雑誌の編集長秘書に。コロンビア版では、服飾メーカーの社長秘書。
編集長のダニエルは創業者一族の御曹司でプレイボーイ、ダニエルが女に手を出さないようにするため彼女が雇われる。コロンビア版では、御曹司の社長が、嫉妬深い恋人が監視役によこした女友達を雇わない口実にするため彼女を雇う。
アメリカでは、フェミニスト共にうるさく言われたくないためか、ベティの扱いはやや丁重になっている感じだ。その上、コメディ性をかなり強めている。この番組、ゴールデン・グローブ賞を受賞したらしく、主演女優に対しては、記者が「アグリー(醜い)」なんて言葉を不快に感じませんかという質問が寄せられたほど、このドラマの設定には、アメリカ社会らしい気の使いようが感じられる。だが、ラテン系のそんなに美人でない女性が主人公というのは、逆にマイノリティのためになるという思惑も働いているような。
マイノリティといえば、このドラマではコロンビア版でも登場したゲイのファッション・スタッフに加え、何と性転換したダニエルの兄もキャラとして登場する。この辺もアメリカらしい。そのせいもあって、ゲイの団体から称賛を受けているらしい。
だが、もう一つ面白い点もある。それは、このドラマは、舞台がニューヨークでベティがファッション誌編集長秘書。とあるハリウッド映画を思い出す。NYのファッション界を舞台とした鬼編集長と若い秘書の奮闘を描いた「プラダを着た悪魔」だ。ドラマのエンディングは、それを意識したのか映画と同じテーマ曲が流れていた。(おそらくNHKの日本語版用)
ある種、誰もが持つファッション界への憧れを投影した作品だともいえる。美女たちの集うファッション界に不釣り合いなベティ。映画では確か、ファッションに全然興味のない若い女の子が、剛腕な編集長に見込まれるスタートで、どこか似通っている。
不細工でファッションとは縁遠いベティがなぜか、ハンサムでプレイボーイの男とゴールインするという「醜いアヒルの子」と「シンデレラ」をとり混ぜたようなドラマ設定。そりゃ、面白いはず。
だが、残念ながらコロンビア版の御曹司のアルマンド役にダニエルはかなわなかった。アルマンドは、ラテン系らしくプレイボーイながらも、同時にマッチョな様相も兼ね合わせ、また、愛嬌もあった。ダニエルは、どうも野暮ったい。オリジナルは、ベティとアルマンドの相反するキャラクター・イメージが印象深かった。
人気ドラマや映画では、よくこんな不釣り合いな組み合わせがモチーフになる。いわば、ドラマ作りの秘訣というべきか。
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これは、南米コロンビアの「Yo Soy Betty, la fea (私はブスなベティ)」のアメリカ版リメイクだ。コロンビアを含め南米中で大ブームとなり、インドやロシアなどでも現地版でリメイクされるほど世界的な大ブームになったメロドラマが元である。
ストーリーは、容姿がお世辞にも美人とはいえない若い女性ベティが、何の因果かニューヨークの一流ファッション雑誌の編集長秘書に。コロンビア版では、服飾メーカーの社長秘書。
編集長のダニエルは創業者一族の御曹司でプレイボーイ、ダニエルが女に手を出さないようにするため彼女が雇われる。コロンビア版では、御曹司の社長が、嫉妬深い恋人が監視役によこした女友達を雇わない口実にするため彼女を雇う。
アメリカでは、フェミニスト共にうるさく言われたくないためか、ベティの扱いはやや丁重になっている感じだ。その上、コメディ性をかなり強めている。この番組、ゴールデン・グローブ賞を受賞したらしく、主演女優に対しては、記者が「アグリー(醜い)」なんて言葉を不快に感じませんかという質問が寄せられたほど、このドラマの設定には、アメリカ社会らしい気の使いようが感じられる。だが、ラテン系のそんなに美人でない女性が主人公というのは、逆にマイノリティのためになるという思惑も働いているような。
マイノリティといえば、このドラマではコロンビア版でも登場したゲイのファッション・スタッフに加え、何と性転換したダニエルの兄もキャラとして登場する。この辺もアメリカらしい。そのせいもあって、ゲイの団体から称賛を受けているらしい。
だが、もう一つ面白い点もある。それは、このドラマは、舞台がニューヨークでベティがファッション誌編集長秘書。とあるハリウッド映画を思い出す。NYのファッション界を舞台とした鬼編集長と若い秘書の奮闘を描いた「プラダを着た悪魔」だ。ドラマのエンディングは、それを意識したのか映画と同じテーマ曲が流れていた。(おそらくNHKの日本語版用)
ある種、誰もが持つファッション界への憧れを投影した作品だともいえる。美女たちの集うファッション界に不釣り合いなベティ。映画では確か、ファッションに全然興味のない若い女の子が、剛腕な編集長に見込まれるスタートで、どこか似通っている。
不細工でファッションとは縁遠いベティがなぜか、ハンサムでプレイボーイの男とゴールインするという「醜いアヒルの子」と「シンデレラ」をとり混ぜたようなドラマ設定。そりゃ、面白いはず。
だが、残念ながらコロンビア版の御曹司のアルマンド役にダニエルはかなわなかった。アルマンドは、ラテン系らしくプレイボーイながらも、同時にマッチョな様相も兼ね合わせ、また、愛嬌もあった。ダニエルは、どうも野暮ったい。オリジナルは、ベティとアルマンドの相反するキャラクター・イメージが印象深かった。
人気ドラマや映画では、よくこんな不釣り合いな組み合わせがモチーフになる。いわば、ドラマ作りの秘訣というべきか。
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by masagata2004
| 2008-01-29 00:55
| 映画ドラマ評論
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